ボボティの歴史と面白い話|アレンジと作り方解説

South Africa

皆さんは南アフリカの「ボボティ」を知っていますか?
「南アフリカ版ラザニア」とも呼ばれるその料理は、肉料理でありながら甘くてスパイシーという独特な味わいを楽しむことができます。
今回はそのボボティについて生まれた経緯から作り方まで、誰かに教えたくなるような情報をまとめてきました!
ぜひ、最後までお楽しみください!

TasteTuneでは、世界各国の多彩な料理をご紹介するとともに、その料理を表現した音楽もお届けしています。
YouTubeやSpotifyなど各種サブスクリプションで配信中ですので、この記事とともにお楽しみください。

ボボティとは

ボボティとは、南アフリカ全域で家庭料理などとして親しまれているケープマレー料理の一つです。

ボボティ(Bobotie)とは、南アフリカ全域で家庭料理などとして親しまれているケープマレー料理の一つです。

ケープマレー料理とは、南アフリカのケープタウン周辺で発展した独特な料理のことです。
後でまた詳しく話しますが、東南アジアなどから連れてこられた奴隷や労働者によってつくられました。

ボボティは炒めた玉ねぎと牛や羊のひき肉を香辛料で味付けし、カスタードとともにオーブンで焼きあげて作ります。
スパイスはカレー粉ベースで風変わりな味わいとなり、焼きカスタードの柔らかい口当たりが特徴です。
また、使用するレーズンや砂糖、レモンなどによって甘さや酸味など、独特の甘辛い風味を引き出すこともできます。

ボボティは、一般的にはターメリックライスと食べられます。
また、サンバルという辛味調味料と組み合わせられることもあります。
サンバルは、唐辛子をベースに野菜や香辛料を加えてペースト状にしたものです。
サンバルを使用すると風味と辛さより引き立てることができます。

TasteTune「Bobotie」

皆さん、Tastetuneの音楽「Bobotie」はお聞きになりましたか?

この音楽はボボティからインスピレーションを得て、その家庭的で心温まる味わいと、南アフリカの夕暮れ時の情景を音で表現した音楽作品です。

家族の集まりや、温かいアフリカの夕暮れを思わせる、穏やかで安心感のあるリズムを、表現していますのでぜひ聴いてみてください!

以下ではこの音楽作品に込められた思いや表現、工夫をご紹介します。

スパイスの香りを感じる音の響き

この楽曲の中心にあるのは、ボボティに欠かせないカレーやシナモン、ハーブなどの香りを「音」で表現していることです。

ふわりと立ち上るスパイスの香りを思わせるように、やわらかい音の重なりや温かみのある楽器が響きます。

その音に耳を傾けると、まるで食卓に広がる豊かな香りを嗅いでいるかのように、ボボティの奥深い魅力を感じ取ることができます。

家族を包むような温もりと安心感

楽曲全体には、穏やかで落ち着いたリズムが流れています。

それは、家族が食卓を囲み、笑顔で過ごすひとときを思い出させてくれるような安心感のあるリズム。

南アフリカの夕暮れ、オレンジ色の太陽がゆっくり沈む中。

人々が心を休めている光景が目に浮かぶようです。

ボボティはただの料理ではなく、家族の絆やぬくもりを象徴している──そんな想いを音楽が優しく伝えています。

重なり合う味わいを映す音のレイヤー

ボボティの特徴である、ひき肉の柔らかさとその上を包む卵カスタードのなめらかさ。

その二つの層を、音の重なりで表現しています。

あたたかい音が広がり、包み込むように響くメロディは、ボボティのまろやかな味わいをそのまま映したよう。

派手さではなく、素材が持つ本来の優しさや、スパイスとの絶妙なバランスを音で感じることができるのです。

耳で味わう、ボボティの世界

この楽曲は、ただのBGMではありません。

ボボティが持つ「温かさ」、スパイスの「香り」、そして「家庭の幸せ」を心で味わうための音の物語です。

目を閉じて耳を澄ませば、料理の香りや家族の笑顔が自然と浮かんでくるはず。

どうぞこの音の旅に身をゆだねて、心の奥まで広がるボボティの世界を楽しんでください。

ボボティの歴史

ボボティのルーツはインドネシアやマレー半島にあるといわれています。

ボボティのルーツはインドネシアやマレー半島にあるといわれています。
これらの地域では、一般的に肉にスパイスや甘味料を加える調理法がとられていました。
この調理法はボボティと共通しており、起源説として有力な根拠とされています。

また「Bobotie」という名称もインドネシア語の「bobotok」(ココナッツを使った蒸し料理)や、マレー語の「boemboe」(スパイスを意味する言葉)から派生したとされています。

そしてこの調理法は17世紀にアフリカに伝わりました。
当時は植民活動が行われており、アジアから連れてこられた奴隷や移民によってケープ植民地(現在の南アフリカ・ケープタウン周辺)に持ち込まれ、広がりました。
そして彼らが伝えた調理法は現地の牛や羊の肉、牛乳、卵などと融合し、南アフリカ独自のボボティとして発展しました。

また、「スパイス風味の肉料理にカスタードをかけて焼く」という調理法は、ヨーロッパ系移民によって伝えられたものだといわれています。
彼らが持ち込んだミートローフやオーブン焼きの食習慣も、ボボティの独特な調理法の一因となりました。

つまり、東南アジアのスパイス文化とヨーロッパのオーブン料理文化 が融合して生まれたのがボボティなのです。

ボボティの面白い話

マンデラも愛した国民食

南アフリカ共和国を中心に活躍した政治家ネルソン・マンデラは、生涯を通してボボティを好んで食べたといわれています。
マンデラは南アフリカの多文化共生の象徴的存在ですが、好物はボボティでした。
家庭的で庶民的な料理を好んだ姿勢は多くの国民の共感を呼び、ボボティは「国民が誇る料理」というイメージを強めました。

学校給食でも定番メニュー

南アフリカの学校では、伝統料理が献立に取り入れられることがあります。
その中でもボボティは人気の高いメニューのひとつです。
甘辛い味付けで食べやすく、肉と卵を使っているため子供たちに必要な栄養価も高いのが理由です。
日本のカレーライスのように、「給食で出てくると嬉しい料理」として親しまれています。

甘いの?辛いの?驚きの味わい

ボボティのユニークな点は、肉料理でありながら甘みを強く感じることです。
チャツネやレーズンといった甘い食材に、カレー粉やターメリックといったスパイスが重なることで、単調ではない複雑な風味が生まれます。
特に外国人旅行者は、この「甘いのにスパイシー」という不思議な味に驚くことが多いそうです。
現地ではご飯と一緒に食べることで味がなじみ、バランスの取れた一皿になります。

「南アフリカ版ラザニア」と呼ばれる理由

ボボティの見た目は、表面に焼き色のついた卵カスタード、下にひき肉が層になっているため、ラザニアやシェパーズパイを思わせます。
特に観光客にとっては馴染みのある料理に例えると理解しやすいため、「南アフリカ版ラザニア」と呼ばれるようになりました。
ただし、ラザニアがチーズやホワイトソースを使うのに対し、ボボティはスパイスや甘みを特徴としている点が大きな違いです。

ボボティにとても似ているラザニア

ワインとの相性も抜群

南アフリカはワインの名産地としても有名で、ボボティとワインの相性は抜群です。
スパイスの効いたボボティには、果実味のある白ワインや、軽やかな赤ワインがよく合います。
特に南アフリカ独自の品種「ピノタージュ」は、ほんのりとした甘みとスモーキーさがあり、ボボティの甘辛い風味を引き立ててくれます。
家庭料理でありながらワインと楽しめるのも、ボボティの奥深さを感じさせるポイントです。

ワインとの相性も抜群

ボボティのアレンジ

ボボティにはさまざまなアレンジが存在します。
「甘味 × スパイス × カスタード風の卵液」という基本を守りつつ、肉・スパイス・甘味のバランスを自由に変えることで、好みやシチュエーションに合わせてボボティを楽しむことができます。
この項目では代表的なアレンジ例をいくつかご紹介します。

肉の種類の違い

  • 羊肉や牛肉が一般的ですが、鶏肉や豚肉を使う家庭もあります。
  • ヘルシー志向の現代では、ターキーや挽き鶏肉を使った軽めのアレンジも人気です。

具材のアレンジ

  • 伝統的にはレーズンやドライフルーツを混ぜ込み、甘みと香りを出します。
  • 一方で、甘味を控えてナッツや野菜(にんじん、ほうれん草、ズッキーニなど)を加えるバリエーションもあります。

スパイスの幅

  • カレー粉が定番ですが、ガラムマサラやクミン、コリアンダーを強めに効かせたインド風バージョンも存在します。
  • 香りをマイルドにして、子どもでも食べやすいように調整されることもあります。

卵液(カスタード)の違い

  • 伝統的には牛乳と卵で作りますが、ココナッツミルクを使ったマレー風のレシピもあります。
  • 表面を少し甘く仕上げるために、砂糖を加える家庭もあります。

ベジタリアン・ビーガンボボティ

ベジタリアン・ビーガンボボティ
  • 挽き肉の代わりにレンズ豆・ひよこ豆・大豆ミートを使うアレンジです。
  • ココナッツミルクとスパイスを組み合わせ、植物性で仕上げる工夫も広がっています。

付け合わせとの組み合わせ

  • 伝統的にはイエローライス(ターメリックやレーズン入りのご飯)と一緒に出されますが、最近はクスクスやキヌアと合わせる新しいスタイルも見られます。

ボボティの作り方

今回は家庭でも作りやすい代表的なボボティのレシピをご紹介します。

材料

  • 牛ひき肉 … 500g(または羊ひき肉)
  • 玉ねぎ … 1個(みじん切り)
  • にんにく … 1かけ(みじん切り)
  • パン … 1枚(牛乳100mlに浸しておく)
  • 卵 … 2個
  • 牛乳 … 200ml
  • カレー粉 … 大さじ1
  • ターメリック … 小さじ1/2
  • クミン … 小さじ1/2(好みで)
  • コリアンダー … 小さじ1/2(好みで)
  • 干しぶどう(レーズン) … 大さじ2
  • アーモンドスライス … 大さじ2(好みで)
  • チャツネ(または甘めのジャム) … 大さじ2
  • 塩 … 小さじ1/2
  • 胡椒 … 少々
  • 油 … 大さじ1

作り方

  1. フライパンに油を熱し、玉ねぎとにんにくを炒める。
  2. ひき肉を加えて炒め、色が変わったらカレー粉・スパイス類を入れて香りを立たせる。
  3. 牛乳に浸したパンを軽く絞って細かくちぎり、肉に加える。
  4. チャツネ・レーズン・アーモンドを加え、塩胡椒で味を調える。
  5. 耐熱皿に流し込み、表面を平らにする。
  6. 卵1個と牛乳200mlを混ぜたカスタード液を上からかける。
  7. 残りの卵を溶き、表面に刷毛で塗る(焼き色をきれいにするため)。
  8. 180℃のオーブンで30~40分ほど、表面がこんがり固まるまで焼く。

付け合わせ

  • イエローライス(ご飯をターメリックとレーズンで炊いたもの)が伝統的。
  • サイドにピクルスやチャツネを添えると甘酸っぱさが加わり、味が引き立ちます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は南アフリカで広く親しまれているボボティについてご紹介しました。

肉料理でありながら甘辛いという味はなかなかのインパクトになると思います。
実際甘いお肉はほとんど食べる機会はないのでボボティはとても気になりました。

ボボティを食べれるお店は現在あまり多くはないようです。
東京蒲田にはボボティをメインに据えるお店があるようなのでそちらを利用するとより本場に近い味を楽しめると思います。
また、イベントなどでも南アフリカの郷土料理としてボボティが紹介されたこともあったようです。
機会があればぜひ味わってほしい一品です。

この記事を読んでくださった人が一人でも多くボボティに興味を持っていただけたら嬉しいです。

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