ボルシチの歴史とバリエーション|作り方解説

Belarus

皆さんはボルシチを食べたことはありますか?

ボルシチは東ヨーロッパを中心に広く食べられるスープ料理です。

季節や風土によって様々な姿を持ち、これからの秋の季節には特に食されます。

今回はそのボルシチの歴史や作り方、地域ごとの種類について紹介します!

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ボルシチとは

ボルシチはウクライナやロシア、ベラルーシなどの東ヨーロッパを中心に広く食べられるスープ料理です。

改めて、ボルシチはウクライナやロシア、ベラルーシなどの東ヨーロッパを中心に広く食べられるスープ料理です。

ビーツやニンジン、肉やスパイスなどを材料に、酸味や甘味、コクなど様々な風味を引き出すことができます。

秋の始まりからは材料として使われる野菜類などが旬を迎えるため、よりおいしく食べることができます。

また、だんだん冷え込んでくる季節でもあるため、そういった点でも暖かいスープは好まれます。

しかし、温かい夏やお昼時でも冷スープとして楽しむこともできます。

つまり、いつでも食べることができる万能料理だとも言えますね。

そして、そんなボルシチの一番ともいえる特徴がバリエーションです。

このスープの母国ともいえるウクライナには、ボルシチのバリエーションが多くあります。

また、ウクライナ周辺国家でも広く親しまれており、さらに多くの変種が存在します。

この記事ではこの辺りも深く掘り下げていきますので、気になる方は最後までお付き合いください!

ボルシチの歴史

ボルシチによく使われるビーツ

初期のボルシチは、5世紀~9世紀ごろのウクライナでつくられたと考えられています。

ボルシチという言葉は、スラヴ語の bъ̃rščь(英語表記 borscht など)に由来し、もとは「野草」を指す言葉でした。

ビーツ(特に根の部分)ではなく、ホースウィードという野草の葉・茎などを使い、発酵させた液体をベースにした酸味のあるスープがボルシチの原型とされています。

その後、今のようにビーツが使われるようになったのは、16世紀以降です。

この時、ビーツ栽培が普及し甘くて強い赤い根を使った「赤いボルシチ」が広がります。

この赤いボルシチを通して、中世・近世では様々な土地独自のバリエーションが生まれていきました。

また、時代が過ぎるにつれて、その立ち位置も変化していきます。

初期は「庶民の料理」「田舎・農村の食べ物」とみなされることが多くありました。

しかし、次第に都市部や富裕層にも普及し食文化の中で重要な存在となっていきます。

近年では、ユネスコが「ウクライナにおけるボルシチを作る文化」を、「直ちに保護が必要な無形文化遺産」のリストに登録するなど文化遺産としての認知も公式に加速しています。

ボルシチのバリエーション

ボルシチには非常に多くのバリエーションがあります。

国・地域・季節・素材によって、風味・具材・調理法が大きく異なります。

この項目ではそのうちの代表的なものをご紹介します!

赤いボルシチ(Red Borscht / Classic Ukrainian Borscht)

赤いボルシチ(Red Borscht / Classic Ukrainian Borscht)

ウクライナを中心に東洋全域で食べられています。

ビーツを主体に、キャベツやジャガイモ、ニンジンやタマネギをたっぷりと使います。

肉も牛や豚をはじめ、時には羊を使うこともあります。

ビーツによる旨味や野菜や肉による旨味・コク、さらにトマトや酢により酸味が深まり濃い目のスープとなります。

非常に満足感が高く、バランスの取れているバリエーションになります。

また、温かく提供されることが多いです。

白いボルシチ(White Borscht / Barszcz Biały / Żurek)

白いボルシチ(White Borscht / Barszcz Biały / Żurek)

主にポーランドで食べられます。

ビーツを使わず、発酵ライ麦粉(またはオート麦・ライ麦由来の酸味素材)もしくはザワークラウトやサワークリームを用います。

ソーセージ・ベーコン・ゆで卵などが使うことが多く、特別な行事(イースターなど)で作られることが多いです。

色は白っぽく、酸味がありながらも肉や乳製品のコクもあり、香ばしさや塩味も感じられます。

そして、ビーツ入りの赤とは違う、軽やかでさっぱりとした味わいが楽しめます。

冷たいボルシチ(Cold Borscht / Šaltibarščiai / Chłodnik / Bortsch Froid)

冷たいボルシチ(Cold Borscht / Šaltibarščiai / Chłodnik / Bortsch Froid)

バルト三国やポーランド、ベラルーシなどで食べられます。

ビーツを前もって茹でたり調理しておき、冷やす調理法が特徴です。

そこにきゅうり・香草・乳製品(ケフィア・サワーミルク・ヨーグルトなど)を加えます。

茹でたジャガイモを添えることもありますが、暑い季節に好まれます。

爽やかで、穏やかな酸味・甘味のバランスが特徴です。

熱いスープと対照的で、冷たさとともに野菜のフレッシュさが目立ちます。

グリーン・ボルシチ(Green Borscht / Sorrel Borscht)

グリーン・ボルシチ(Green Borscht / Sorrel Borscht)

ウクライナ、ロシア、ポーランドなどで食べられます。

スミレやスオレルなどの酸味のある葉野菜、ホウレンソウやその他春の野草を使います。

ビーツは少量入れたり入れなかったりまちまちです。

野菜と肉から出汁を取り、トッピングにはゆで卵を使います。

また、サワークリームを添えることが多いです。

さっぱりとした酸味と野菜らしい風味が楽しめます。

こちらは春から初夏にかけて旬を感じます。

ボルシチの作り方

最後にボルシチの作り方について紹介します!

今回は一般的な赤のボルシチの作り方です。

材料(約6〜8人分)

  • 牛肉(骨付きまたは煮込み用) … 600〜800g
  • 水 … 約2.5L(スープ用)
  • ビーツ … 中3個(約400〜500g)
  • キャベツ … 1/2玉(約400g)
  • ジャガイモ … 中2〜3個(約300g)
  • タマネギ … 1個
  • ニンジン … 1〜2本
  • トマトペースト … 大さじ2〜3(またはトマト1〜2個をすりおろし)
  • ニンニク … 2〜3片
  • 酢(またはレモン汁) … 大さじ1〜2
  • 砂糖 … 小さじ1(酸味の調整用、好みで)
  • 塩 … 適量
  • 黒こしょう … 適量
  • ローリエ … 1〜2枚
  • ディル(フレッシュ) … 適量(仕上げ用)
  • サワークリーム … 適量(盛り付け用)
  • サラダ油またはバター … 大さじ2〜3(炒め用)

作り方

  1. スープをとる
     大きめの鍋に水(約2.5L)と牛肉、ローリエを入れて中火にかける。沸騰したらアクを取り、弱火にして1時間ほど煮込み、スープを作る。
     (肉は後で一口大に切り、鍋に戻す)
  2. 野菜を下ごしらえする
     ・ビーツ … 皮をむき、細切りまたはマッチ棒状に切る
     ・キャベツ … 千切り
     ・ジャガイモ … 角切り
     ・タマネギ … みじん切りまたは薄切り
     ・ニンジン … 千切り
     ・ニンニク … みじん切り
  3. 炒め野菜を作る
     フライパンに油(大さじ2〜3)を熱し、タマネギとニンジンを炒める。しんなりしたらビーツを加えてさらに炒め、トマトペーストを加えてよく混ぜる。ここで酸味と甘みを整えるため、酢(大さじ1〜2)と砂糖(小さじ1)も加える。
  4. スープに野菜を加える
     スープの鍋にジャガイモを入れ、柔らかくなるまで10分ほど煮る。
     続いてキャベツを入れ、さらに炒めた野菜(ビーツ・タマネギ・ニンジン)を加える。
  5. 仕上げ
     肉を一口大に切って鍋に戻す。
     ニンニクを加え、塩・こしょうで味を整える。
     弱火でさらに10〜15分煮込み、全体の味をなじませる。
  6. 盛り付け
     器に盛り、サワークリームをのせ、刻んだディルを散らして完成。
     ライ麦パンなどを添えると本格的。

ポイント

  • 酸味は酢の量で調整(酸っぱすぎないように少しずつ)
  • 翌日に味が落ち着いてさらに美味しくなる
  • 牛肉を豚肉に替えたり、肉なしでベジタリアン風にしてもよい

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は東ヨーロッパを中心に広く親しまれているボルシチについて紹介しました!

これからの秋の季節に旬として楽しむことはもちろん、温かい季節にも冷スープとして楽しめるそのバリエーションはこの料理の大きな特徴でした。

みなさんも季節や場面に合わせてお好みのボルシチを見つけてみてはいかがでしょうか!

日本ではロシア・ウクライナ料理店をはじめスープ専門店など、結構いろいろなところで食べることができるようです。

もちろん、お家でつくるのもあり寄りのあり!

晩御飯の一品としておいしく振舞いましょう!

この記事を読んだ方が少しでもこの料理に興味を持っていただけたら嬉しいです。

最後までありがとうございました!

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