皆さんはプロフを知っていますか?
プロフは中央アジアを代表する炊き込みご飯料理のことです。
スパイスの香りが印象的で、肉のうまみとにんじんの甘みの調和が魅力の一品です!
今回はそんなプロフについて歴史や作り方まで解説しておこうと思います!
ぜひ最後までお楽しみください。
プロフとは

プロフ(Palov / Плов) は、中央アジアを代表する伝統的な炊き込みご飯料理です。
ウズベキスタンでは国民食とされ、祝祭日・結婚式・葬儀・日常の食卓など、あらゆる場面で登場します。
都市ごとに特徴があり、サマルカンド風・ブハラ風・フェルガナ風などのスタイルがあります。
また、ウズベキスタン周辺の国々でも親しまれており、地域特有のバリエーションが存在していたりもします。
名前のプロフはアラビア語の「ピラウ(Pilaf)」が語源といわれています。
そのため、世界各地のピラフの原型がこのプロフともされています。
プロフの味・風味
プロフは肉のうまみと香味野菜、スパイス、油が一体となった芳醇な味わいが特徴です。
肉は伝統的に羊肉を使用します。
羊肉は独特のコクと香りが強く、油とスパイスの風味に負けない存在感があります。
また、位によってはほろほろと崩れる柔らかさになり、脂が米にしみこむことで豊潤な味わいになります。
プロフの甘みを引き出してくれるのがニンジンです。
味の要ともされるニンジンは、肉の塩気と混ざり合い絶妙なバランスを取り合います。
プロフのスパイスは、スパイスを多用するインド式ピラフとは異なり、控えめで上品です。
主に使われるのはクミン(ジーラ)と黒胡椒。
時折、バーベリー(酸味のある赤い実)やレーズンが加えられ、甘酸っぱさを添えます。
そして決め手となるのが油です。
プロフは「油の料理」と呼ばれるほど、油の量が多いです。
しかし、不快な油っぽさではなく、肉の香ばしさと一体化してコクと旨みを作ります。
これらの要素が混ざり合い、プロフはその複雑でやみつきになる風味を醸し出します。
プロフの歴史

プロフの起源は非常に古く、ピラフ(Pilaf)と共通のルーツを持つとされています。
また、プロフの起源に関する伝説もいくつか語り継がれています。
代表的なものが、学者兼医者のアヴィセンナが病気になった王子の体力回復のために考案したというものです。
他には、アレキサンダー大王が中央アジア遠征の際に似た料理を食べたという逸話も残っています。
いずれも史実として確定はしていませんが、それだけ古くからこの地域に似た料理文化が存在していたことを示唆しています。
やがてプロフは、ウズベキスタンを中心に中央アジア全域へ広まりました。
プロフは米・肉・にんじん・油を大鍋で炊き上げる料理です。
そのため、豊かな農産物と遊牧文化が交わる風土にぴったり合い、祝い事や儀式の食卓には欠かせない存在となりました。
現在でも、結婚式・誕生・葬儀など、人生の節目を彩る料理として作られています。
プロフの豆知識・面白い話
アヴィセンナが考案したという伝説
ウズベキスタンでは、「プロフは医師アヴィセンナ(イブン・シーナ)が考案した」という伝説が有名です。
彼は病にかかった王子の栄養を回復させるため、米・肉・にんじん・油を使った一皿を作らせたと伝えられています。
その結果、王子は見事に回復し、この料理が広まったと言われています。
医学と料理がつながる逸話として、今も人々に親しまれています。
プロフは「男性の料理」

ウズベキスタンでは、プロフは伝統的に男性が作る料理です。
祝い事や大人数の集まりでは、男性たちが屋外に大きな鉄鍋(カザン)を据え、数十人分、時には数百人分のプロフを豪快に炊き上げます。
この行為は“オシュ(Osh)”と呼ばれ、調理は一種の儀式のような意味を持っています。
「PALOV」という言葉の秘密
ウズベキスタンでは、プロフのウズベク語表記「PALOV」は、実は材料の頭文字を意味すると言われています。
- Pはウズベク語でPiyoz、タマネギを意味します。
- Aはウズベク語でAyroz、コメを意味します。
- Lはウズベク語でLahm、肉を意味します。
- Oはウズベク語でOlio、油を意味します。
- Vはウズベク語でVet, Vatar、塩・ニンジンなどを意味します。
つまり「PALOV=プロフ」は、そのまま料理の構成を表した言葉になっているのです。
諸説はありますが、ウズベキスタンの家庭ではよく知られている語呂合わせです。
結婚式では「祝福のプロフ」が振る舞われる

ウズベキスタンの結婚式では、早朝に大鍋で作られる「祝福のプロフ(To‘y osh)」が欠かせません。
近所の人や親戚が集まり、新郎側が中心となって炊き上げるのが伝統です。
式の前にふるまわれるこの料理を食べることで、参加者は新郎新婦の幸せを祈ります。
食後は必ずお茶で締める
プロフを食べた後には、濃い緑茶(または紅茶)を飲むのが定番となっています。
これは「油っこい食事の後に胃を整える」という意味があります。
そのため、プロフ専門店には必ずと言っていいほどチャイ(お茶)セットが出されます。
プロフの作り方
材料(4〜5人分)
- 米(できれば長粒米やジャスミンライス)・・・2合(約300g)
- 羊肉または牛肉(角切り)・・・300g
- 玉ねぎ・・・1個(薄切り)
- にんじん・・・2〜3本(太めの千切り)
- にんにく(皮付き・丸ごと)・・・1玉
- サラダ油または綿実油・・・大さじ5〜6
- クミンシード・・・小さじ1
- 塩・・・小さじ1〜1.5(好みで調整)
- 黒こしょう・・・少々
- 水・・・約400ml
(お好みで)レーズン、ヒヨコ豆、バーベリーなどを加えてもOK
下ごしらえ
- 米は軽く洗い、30分ほど水に浸けておく。
- 肉は一口大に切る。
- にんじんは太めの千切り、玉ねぎは薄切りにする。
作り方
- 鍋を熱し、油をしっかり温める。
中火〜強火で、まずは油を煙が出る直前まで加熱します。 - 肉を炒める。
肉を加えて、表面がこんがりするまでしっかり炒めます。ここでうま味と香ばしさが生まれます。 - 玉ねぎを加える。
肉に火が通ったら玉ねぎを加え、透明になるまで炒めます。 - にんじんを加える。
にんじんを投入し、しんなりして甘い香りが出るまで炒めます。 - スパイスを入れる。
クミン・塩・黒こしょうを加えて全体を混ぜます。ここで香りの層が決まります。 - 水を加え、軽く煮込む。
材料がひたるくらいまで水を入れ、5〜10分ほど煮込みます。肉と野菜のだしがスープに出ます。 - 米を上にのせる。
浸水した米をざるに上げ、水気を切って鍋に平らに広げます。
このとき、混ぜないのがポイントです。 - にんにくをのせる。
丸ごとのにんにくを米の上に軽く押し込みます。 - 弱火で炊く。
沸騰したら弱火にして、ふたをして20〜25分ほど炊きます。 - 蒸らして仕上げる。
火を止め、10分ほど蒸らしたら全体をざっくり混ぜます。
にんにくは柔らかくなっているので、食べるときに崩して混ぜてもOK。
仕上げ・食べ方
- お皿に盛りつけ、にんにくを中央に添えるのがウズベキスタン流。
- お好みでチャイ(緑茶)を添えると、現地の雰囲気になります。
- 少量のサラダやピクルスを一緒に出すと、油の重さが和らぎます。
まとめ
いかがでしたか?
今回は中央アジアから炊き込みご飯料理のプロフをご紹介しました!
とても脂っこそうですが、それに配慮した食べ方もあり、やみつきになる味わいでよだれが出そうです!
ピラフとのかかわりがあったりと、中央アジアは炊き込みご飯料理が多い傾向にありますね。
さて、このプロフを提供している日本国内のお店についてです。
国内では東京や名古屋などの一部の都市に存在するウズベキスタン料理店で味わえます。
プロフは大鍋で大量に炊くスタイルなので、レストランなどでは調理面などでややハードルが高いようです。
今回紹介したレシピでは4〜5人分を想定したものになっています。
近くにお店がない場合はぜひこちらを参考にお家でつくってみてください!
この料理では、中央アジアらしい風味を味わうことができます。
きっとやみつきになること間違いなし!
最後までご覧いただきありがとうございました。
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