皆さんはピカーナを知っていますか?
ボリビアでとても親しまれているこの料理は、祝祭文化とおいしく食べるための工夫が煮詰められた、贅沢な一品なんです。
そんなピカーナがどんな歴史を持っているのか?作り方はどうなのか?
皆さんの疑問にお答えできるような記事をまとめてきました。
ぜひ、最後までご覧ください!
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ピカーナってどんな料理?

ピカーナはボリビアの伝統的なスープ料理です。
ボリビア全土で親しまれており、特にクリスマス・イブには家族で食べる料理として定着しています。
名前の由来はスペイン語の「picar(刻む・刺激する)」だといわれています。
ボリビア料理全般に言えることですが、ピカーナはスペイン植民地時代以降に成立した“混血料理”です。
そのため、食材や祝祭性はアンデス系の先住民文化ですが、名前や調理法はスペイン由来のものです。
そして、picarという単語については「刻む」という意味と「刺激する」という二つの意味があります。
「刻む」はピカーナが複数の肉を切り分けて使う点。
「刺激する」はスパイスによって舌が刺激されるという点で最も語源に近いとされています。
ピカーナは濃厚なスープが特徴です。
牛肉や鶏肉、トウモロコシやジャガイモなどの根菜類を煮込んで作りますが、これらの具材が濃厚でコクのあるスープを作ります。
また、煮込む際にワインやビールを使用するため、この濃厚なスープをより引き立ててくれます。
スパイスには赤トウガラシや白ごまを使用し、辛さではない香りづけがまた一つの魅力としてこの料理を引き立ててくれます。
全体として塩気と甘みがバランスよく混ざり合った深い味わい深いの料理です。
ピカーナの歴史

ピカーナの起源は18~19世紀ごろまでさかのぼります。
ボリビアの伝統料理としてのピカーナは、もともと「asado en cuero(アサード・エン・クエルド)」と呼ばれる調理法から発展したとされています。
これは牛や羊などを皮付きのまま長時間煮込む豪快な調理法のことです。
当サイトでも以前アサードについての記事を投稿しています。
しかし、その時紹介したアサードがバーべーキュー式に肉を焼いて調理するのに対し、アサード・エン・クエルドは皮(革)ごと包んでじっくり火を通す点が特徴であり、アサードとはまた別物です。
このアサード・エン・クエルドが原型とされており、ここから現在のスープ上のピカーナへと変化していきます。
その後、より使いやすい調理器具として鍋や鉄鍋などが普及するようになります。
その流れに乗るように、ピカーナは皮のままではなく水やスープをベースにして煮込むようになります。
その結果、アサード・エン・クエルドの「じっくり肉を柔らかくする」という料理概念が受け継がれつつ、鍋で多種類の肉と野菜を香辛料・ワイン・ビールで煮込むスープ料理へと進化しました。
クリスマスとの結びつき

ボリビアでは、クリスマス・イブの夜の食事(Nochebuena)にピカーナを家族で食べることが伝統化しています。
そのため、多くの家庭では深夜のミサ(Misa de Gallo)のあとにピカーナと祝うという習慣が根付いています。
ではなぜボリビアのクリスマスでピカーナが定番となったのでしょうか?
その理由は宗教と収穫の時期にあります。
元々ボリビアは歴史的にローマ・カトリックの影響が強く、クリスマスは重要な祝祭日として受け継がれてきました。
そのため、多くの家庭は深夜ミサ(Misa de Gallo)に参加し、これを境に祝宴を行います。
この「ミサの後に豪華な食事を家族と共に楽しむ」という習慣が、ピカーナのクリスマスでの位置づけを強くしたと考えられています。
また、クリスマスの時期は、ボリビアでは収穫が始まる季節とも重なります。
食材が豊富になりやすい時期でピカーナに使用するトウモロコシやジャガイモなどの根菜が収穫されます。
こうした収穫感謝祭的な文化とクリスマスが重なりやすいこともピカーナとクリスマスを結びつける理由になっています。
ピカーナの豆知識と面白い話
① 「肉の数」でマウント

ピカーナは伝統的に牛肉、鶏肉、羊肉など複数の肉を使います。
そのためか、「うちは3種」「いや、うちは4種入れる」と、肉の種類や量が家庭の誇りになりがちだといいます。
これはかつて肉が貴重であり、祝祭が分かち合いの側面が強かった時代の名残です。
また、豪華さが家族や来客への敬意を表しているともされています。
② スープだけど「主食」
これまで解説したように、ピカーナはスープ料理です。
しかし、具材として肉の塊やトウモロコシ、ジャガイモなどがゴロゴロと入っており非常に食べ応えがあります。
そのため、ボリビアではピカーナを一食分の主食として扱っているそうです。
また、ピカーナが主食として扱われているということから、ピカーナの後にデザートがきたり、前菜がなかったりすることも覚えておくとよいでしょう
③ ワインやビールを入れる理由

ピカーナを煮込む際、具材とともにワインやビールも一緒に煮込まれます。
これには濃厚なスープを風味付けし引き立てる役割があるとも解説しました。
ですが他にもなくてはならないような理由がいくつか存在します。
1つ目がお肉が柔らかくなるから。
料理をよくする方ならこの理由は納得がいくのではないでしょうか。
- アルコールが肉のたんぱく質構造に作用する
- 酸(ワインなど)が筋繊維をゆるめる
- 加熱時の水分保持を助ける
酒類にはお肉に対してこれらの役割があります。
2つ目が保存性を高めるため。
大鍋で料理することや保存設備が乏しかったなどの理由から来ています。
お肉をはじめとした具材が傷みにくくするために、お酒や加熱など様々な工夫がなされた結果でもあります。
3つ目が大鍋の味を均一にするため。
お酒には
- 水に溶ける成分
- 脂に溶ける成分
の両方を引き出す性質があります。
そのため、肉の油の旨味や野菜の水溶性の甘みをスープ全体につなぎ、味を一体化させる役割を果たします。
これらの理由から、ピカーナにお酒を使うのには実用的理由があることがわかります。
祝祭料理でありながら合理的な側面を持っているんですね。
④ 夏のクリスマスと熱々のスープ
クリスマスが祝われるボリビアの12月は南半球の夏です。
それでもピカーナは湯気が立つほど熱々のままでも食べれてしまいます。
これはピカーナが体を温めるより「心を満たす」という位置づけだからです。
季節よりも伝統と象徴性が優先される素晴らしい文化なのです。
⑤ さらにおいしいピカーナ
豆知識として定番なのが翌日のピカーナは、さらに美味しいということです。
一晩寝かせたピカーナは味がさらに馴染んで美味しくなります。
そのため、
- 25日の朝や昼に食べる
- パンやご飯と合わせる
という家庭も多く、2日楽しめる祝祭料理でもあります。
ピカーナのレシピ
材料(4〜6人分・大鍋)
肉類(複数使うのが特徴)
- 牛肉(すね・バラ・骨付きが理想)……500g
- 鶏肉(骨付きももなど)……1羽分 or 400g
- 羊肉または豚肉(あれば)……300g
※最低2種、伝統的には3種以上
野菜・穀類
- ジャガイモ(皮付き)……4〜6個
- トウモロコシ(生 or 冷凍)……2本分
- にんじん……1〜2本
- 玉ねぎ……1個
- セロリ(あれば)……1本
調味・風味
- 赤ワイン……200ml
- ビール……200ml
- 水 or ブイヨン……適量(鍋の8〜9分目まで)
- 塩……適量
- 黒胡椒……少々
- クミン……小さじ1
- ローリエ……1〜2枚
- 唐辛子(乾燥・粉)……少々(辛くしない)
作り方
① 肉の下処理
- 牛肉・羊肉は大きめの塊のまま
- 鶏肉も骨付きのまま使う
👉 小さく切らないのがポイント
(長時間煮ても崩れず、旨味が残る)
② 鍋にすべて入れる(順不同)
- 肉類
- 野菜(ジャガイモ以外)
- 香辛料
- ワイン+ビール
- 水(具材がしっかり浸かるまで)
👉 ここでは炒めない
→ もともと asado en cuero 由来のため
③ 火にかけて長時間煮込む
- 強火 → 沸騰
- 沸騰後:弱火
- 2〜3時間以上、静かに煮込む
途中で:
- アクを取る
- 水分が減れば足す
👉 沸かし続けない
👉 グラグラさせない
が重要
④ 仕上げの具材
- ジャガイモ
- トウモロコシ
を加えて、さらに 30〜40分 煮る。
⑤ 塩で最終調整
- 最後に塩を入れて味を決める
👉 早く入れすぎると
肉が硬くなり、味もブレる
食べ方・提供方法
- 深めの皿にスープごと盛る
- 肉・野菜・スープを一緒に食べる
- パンを添える家庭も多い
失敗しないコツ(重要)
- ✔ 肉は「少なくとも2種」
- ✔ 火は弱く、時間をかける
- ✔ 翌日もう一度温めるとさらに美味しい
- ✔ 味は「薄め → 最後に決める」
まとめ
いかがでしたか?
今回はボリビアのクリスマスの定番ピカーナを紹介しました!
実用的な工夫と祝祭文化が混ざり合って贅沢な一品へと仕上がっていましたね!
温かい鍋料理ということで、北半球の我々は心も体も温まるのに最適ですね!
ぜひ家族や仲間と一緒に味わってみてはいかがですか?
最後までご覧いただきありがとうございました!
今後もこう言った記事を投稿していきますので、応援していただけたら嬉しいです。

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