皆さんはドロワットを食べたことはありますか?
ドロワットとはエチオピアで親しまれているシチュー料理のことです。
この時期には特に食べられるということで、今回紹介しようと思いました。
ぜひ、最後までご覧ください!
また、TasteTuneでは世界の料理を紹介するとともに、その料理を表現した音楽の公開も行っています♪
この記事もその音楽と一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか!
音楽はYouTubeやSpotifyなどで配信を行っております!
ドロワットとは

ドロワット(Doro Wat/Wot)とは、簡単に言うと鶏肉の煮込みシチューです。
大きな平たいパンのような「インジェラ」という主食(発酵させたテフ粉のクレープ)に盛り付けて一緒に食べます。
インジェラでシチューや具材を手で掴んで口に運ぶのが伝統的な食べ方です。
骨付きの鶏肉とゆで卵を、スパイスをタマネギがたっぷり使われたソースで煮込んで作ります。
その味わいは、スパイシーで奥深い味です。
「ベリベリ(Berbere)」という唐辛子とスパイスをブレンドした調味料が使われており、辛味・甘味・スモーキーさなどの複数の味わいが楽しめます。
また、タマネギを大量に使用するためコクと旨味が強めでもあります。
その結果、スパーシーで奥深く、パンチなある味に仕上がります。
また、名前の由来は煮込んだやシチューを意味する「Wat/Wot」と鶏を意味する「Doro」のかけあわせです。
TasteTune「Doro Wat」
皆さん、Tastetuneの音楽「Doro Wat」はお聞きになりましたか?
この音楽はドロワットからインスピレーションを得て、その温かく情熱的な味わいと、エチオピアの共同体的な食文化を音で表現した音楽作品です。
伝統的なドラムの響き、催眠的な手拍子、そして鮮やかなホーンのメロディが織りなす音の世界は、聴く者をエチオピアの祝祭へと誘います。
ぜひ聴いてみてください!
以下ではこの音楽作品に込められた思いや表現、工夫をご紹介します。
大地の鼓動と情熱のリズム
この楽曲の中心にあるのは、エチオピアの大地に根ざした力強いリズムです。
土を踏みしめるように響く太鼓の音は、ドロワットがゆっくりと煮込まれていく時間を思わせます。
手拍子のリズムは、人々が食卓を囲んで分かち合う喜びや、活気あふれる交流を映し出します。
それはまるで、鍋の中でスパイスが熱を帯び、情熱的に立ちのぼる香りを音で表現しているかのようです。
祝祭と親しさが交わる構成
この曲全体から感じられるのは、「お祭りのように華やかでありながら、家族の集まりのように親しい」雰囲気です。
リズムの力強さと温かいメロディが組み合わさり、聴く人を自然とその世界へと引き込みます。
それはまさに、エチオピアの文化が持つ豊かさと、食を通じて生まれる喜びを体感させてくれる音の風景なのです。
耳で味わうドロワットの魅力
このドロワットをテーマにした楽曲は、ただ流れていく音ではありません。
そこにあるのは、料理の「温かさ」、スパイスの「情熱」、そして人々が一緒に過ごす「喜び」。
耳を澄ませば、エチオピアの食卓の光景や、人々の笑顔が目の前に広がるように感じられるでしょう。
ぜひ、この音の旅に心をゆだねて、ドロワットが持つ世界を存分に味わってください。
ドロワットの歴史

ドロワットはいつ頃からつくられるようになったのか?
実は明確な資料が残っておらず、皆さんに紹介することができません。
また鶏を使わないそのほかのワットについても明確な資料が存在しません。
そのため、出自についてはほとんどわかっておらず、推測の域でしか語ないのが現状です。
ただし、一部の著述ではおよそ1~7世紀頃のアクスム王国時代にはワットの前身として、穀物(テフなど)の栽培、発酵食品、また共同体での宴会・祝祭での食事の慣習があったことが指摘されています
これを史実だと仮定するとワットにはとても長い歴史があり、その中の派生形の一つとしてドロワットが生まれたかもしれません。
また、15世紀以上の文献では徐々にワットの記述も増えていきます。
そして、近代ではワット類は日常食・祝祭食の双方で定着しています。
様々なバリエーションが存在し、煮込み料理ジャンルで文化的なアイデンティティを確立しました。
特有の香辛料・油脂の使い方も、この時期までに完成に近づいたと考えられています。
ドロワットの雑学・面白い話
Enkutatash とドロワット

エチオピアの暦では、新年がグレゴリオ暦の9月11日(うるう年の前日の場合は9月12日)にあたります。
この日には家族や友人で集まり、祝宴を上げることが伝統です。
この新年祭はEnkutatash(エンクタタシュ)と呼ばれ、「宝石の贈り物」を意味する名前がついています。
そしてその祝いの料理として登場するうちの一つがワット系です。
特にドロワットは祝宴メニューによく含まれます。
ではなぜ新年にワットの中でもドロワットが選ばれるのでしょうか?
それは新年は祝祭感が強いため、重めで特別なメニューが選ばれる傾向があるからです。
ドロワットはスパイスや時間をかけた煮込み料理であり、「特別な日の料理」として相応しいという文化的背景があります。
また、もてなし・共有の意味がある食事が重要であり、ドロワットはその役割を果たします。
祝祭日とドロワット
ドロワットはEnkutatashをはじめ、そのほかの祝祭でも振舞われることが多いです。
例えば、エチオピア正教会の重要な祝祭、特にGenna(エチオピアのクリスマス、1月7日)やFasika(イースター)などでは、ドロワットが祝宴の中心に据えられる料理です。
断食期間が終わるとこのような重めの料理が振る舞われることが伝統です。
発酵パン・インジェラとの相性

インジェラはテフという古くから高地で栽培されてきた穀物を使い、発酵させて作るパンです。
「ミダット(mitad)」と呼ばれる大きな焼き器を使用し、発酵時間も地域や気候によって変化します。
料理と食具を兼ねる特性をもち、ドロワットのような煮込み料理を「すくう」役割を持ちます。
また、インジェラの酸味・テクスチャーが辛味・コク・脂の重さを中和し、バランスを取る役割も担っています。
「国民的料理」「象徴食」としての地位
ドロワット+インジェラという組み合わせは、エチオピア料理を代表します。
いわば「ナショナルディッシュ」のひとつとして紹介されており、文化的アイデンティティと深く結びついています。
また、エチオピア国外に住む人々(ディアスポラ)が、故郷の味を伝えるためにドロワットを最もよく作る・持ち込む料理のひとつとも言われています。
これによってドロワットの国際的認知度も上がってきています。
栄養的な特徴
ドロワットは、鶏肉+卵の組み合わせによりタンパク質が豊富で、脂も比較的多いため満足感が高い料理です。
インジェラと一緒に食べることで炭水化物・食物繊維・なども摂れる構成になります。
ただし調味料やスパイス、バターや脂の量によっては塩分・飽和脂肪の摂取が過多になることもあり、現代ではこの点を調整するレシピも見られます。
ドロワットの作り方
材料(4〜6人分)
- 鶏肉(骨付き、ぶつ切り) … 約1kg
- レモン汁 … 大さじ2(鶏肉の下味用)
- 塩 … 適量
- 玉ねぎ … 大3個(細かく刻む)
- ニテール・キッベ(エチオピアの香味バター) … 1/4カップ
※なければ無塩バター+生姜・にんにく少量で代用可 - にんにく … 3〜4片(すりおろし)
- 生姜 … 大さじ1(すりおろし)
- ベルベレ(エチオピアのスパイスミックス) … 大さじ3〜4
- トマトペースト … 大さじ2〜3
- 鶏がらスープ or 水 … 2カップ程度
- ゆで卵 … 4〜6個(殻をむいておく)
- 黒胡椒 … 少々
下準備
- 鶏肉にレモン汁と塩を揉み込み、20〜30分ほど置いて臭みを取る。
- ゆで卵を用意して殻をむいておく。
調理手順
- 玉ねぎを炒める
厚手の鍋に油をひかずに玉ねぎを入れ、弱火〜中火で水分を飛ばすようにじっくり炒める(30〜40分)。きつね色になるまで焦がさずに。 - 香味とスパイスを加える
玉ねぎにニテール・キッベを加え、にんにく・生姜を入れてさらに数分炒める。
次にベルベレを加え、香りが立つまで炒める。 - トマトペーストを加える
トマトペーストを加えて混ぜ合わせ、全体が濃厚なペースト状になるまで炒める。 - 鶏肉を煮込む
下味をつけた鶏肉を加えてよく混ぜ、ペーストをまとわせる。
鶏がらスープ(水でも可)を注ぎ、弱火〜中火で40〜50分ほど煮込む。 - ゆで卵を加える
煮込みの仕上げにゆで卵を加え、さらに10分ほど煮る。
味を見て塩や胡椒で整える。
盛り付け
- エチオピアの伝統ではインジェラと一緒に食べます。
- 日本ならご飯やパンにも合ういます。
- ポイントは玉ねぎをしっかり炒めることとベルベレの量で辛さを調整すること。
これで本格的な風味に近づきます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はエチオピアのナショナルディッシュ、ドロワットを紹介しました!
スパイシーなシチューとパンの相性が抜群でとてもおいしそうな料理でしたね!
日本ではエチオピア料理店やアフリカ料理店などで食べることができるようです。
自宅でつくるレシピもありますがこれはそこそこ時間をかけて作るので大変だと思います。
しかし完成して口に運んだ時の感動はその分大きくなると思います。
チャレンジャーな方や料理が好きな方はぜひ作ってみてください!
この記事を読んで少しでも多くの人がこの料理に興味をもってもらえたら嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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