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スリナムのポム♪起源からレシピまで紹介【スリナム料理】

皆さんはポムを知っていますか?

ポムと聞くと様々なものを頭をよぎりますが、ここでは料理名を指します!

ポムはスリナムで親しまれている国民料理のことです。

今回は家庭から祝宴まで幅広く食べられているこの料理の魅力をお伝えしていきます!

ぜひ最後までお楽しみください。

目次

ポムって何?

ポム(Pom)は、スリナムの国民的料理とされるオーブン焼きのキャセロール料理です。

ポム(Pom)は、スリナムの国民的料理とされるオーブン焼きのキャセロール料理です。

先にキャセロール料理とは何かを説明しておきます。

キャセロールとは耐熱皿のままオーブンで焼き上げる一皿料理のことです。

料理名というより「調理スタイル」を指す言葉です。

ポムはそのキャセロールで根菜や鶏肉を焼き上げて作ります。

そもそもポムという名前は調理で使う根菜の名前から来ているとされています。

それがポムタヤ(pomtajer / tajer)と呼ばれる根菜で、里芋に近いタロイモ系の芋です。

メインがこのポムタヤを使うことからポムという名前になったといわれています。

風味は芋のほのかな甘みと味の染みこんだ鶏肉が柑橘の酸味で爽やかに混ざり合い、濃厚でトロっとした仕上がりになります。

「タロイモグラタン+鶏の煮込みを合わせた」ような風味とも評されます。

また、スパイスやハーブによって辛さや刺激を出すこともできます。

ポムの歴史

ポムタヤはスリナムで育つジャガイモの代わりとして使われるようになります。

ポムは17~18世紀のスリナム(当時はフランス領)で、移民によってつくられた料理が始まりとされています。

スリナムには当時、

  • ポルトガル系ユダヤ人
  • アシュケナジム系ユダヤ人

が主にカリブ海の交易を通じて移住し、コミュニティを形成していました。

その際に、彼らがヨーロッパで食べていたジャガイモのオーブン焼きが持ち込まれます。

しかし、スリナムは赤道に近い熱帯でジャガイモが入手しずらいという問題がありました。

そこで登場するのがポムタヤです。

ポムタヤはスリナムで育つジャガイモの代わりとして使われるようになります。

つまりポムとは、ヨーロッパの料理をスリナム独自の料理へ変化させたものなのです。

その後はユダヤ人の安息日(シャバット)などに重宝されます。

18~19世紀にユダヤ人だけでなく多民族社会のスリナム全体に広がり、現在の形になりました。

今では

  • 祝い事(誕生日・洗礼・結婚式)
  • 家族の集まり
  • 特別な日のごちそう

で定番となり、スリナムを象徴する代表料理になっています。

ポムの面白い話と雑学

材料替えの面白さ

もともとはジャガイモの代用としてポムタヤを使い始めた料理はさらに多くの変種を生みました。

ポムは一般的には鶏肉を使用します。

しかし、地域・家庭によっては塩漬け肉(クレオール系)や魚を入れるバリエーションも存在します。

さらに、調味料なども地域によっては違いがあります。

ジャワ系は醤油(甘口・濃口)

インド系はピカルイリー(ピクルス風の調味料)

中国系ではジンジャーやライチ

「技術」と「名声」の指標

スリナムでは、ポムをうまく作ることが家庭料理の腕前や名誉になるという文化的な側面があります。

スリナムでは、ポムをうまく作ることが家庭料理の腕前や名誉になるという文化的な側面があります。

このことにはポムタヤの

  • 生だと変色しやすい
  • 水分量が不安定
  • すりおろしの加減で仕上がりが変わる

など扱いが難しい食材という一面が関係しています。

昔、初めてポムを作るとき家族全員に味を確かめてもらう習慣があったという記録もあります。

オレンジジュースの意味

ポムのレシピには、苦みのあるオレンジ(ビターオレンジ)のジュースを使う伝統があるものがあります。

この伝統には柑橘の酸味によって風味を出す役割があります。

また、ポムタヤに含まれるシュウ酸を中和する役割があった、という説も。

共同オーブン

伝統的には、ポムを家族やご近所で共同のオーブンを使って焼くことがあったという話があります。

このことには家庭用オーブンがまだない時代の文化が関係しています。

共有の設備を使うことで大きな一皿(ポム)を作るのが現実的だったのです。

サンドイッチ化(Broodje Pom)

サンドイッチ化(Broodje Pom)

1960年代以降、スリナムからオランダへ多くの移民が渡ったことで、ポムはオランダ国内でもポピュラーな料理として認知されるようになります。

その中で、特にアムステルダムなどではポムをパン(バンズ)にはさんだ “Broodje Pom” というスタイルが人気になります。

ポムがスリナム移民によってオランダに伝わる中で、生まれた“軽めバージョン”とも言われています。

ポムの作り方

材料(6~8人分の目安)

鶏肉の層

  • 鶏もも肉 … 600~700g(骨付きでも可)
  • 玉ねぎ … 1個(みじん切り)
  • ニンニク … 2~3片(みじん切り)
  • トマト … 1個(角切り・トマト缶でも可)
  • オレンジジュース … 150ml
  • 鶏ガラスープ or 水 … 100ml
  • マギーキューブ … 1個(または顆粒スープ)
  • 油 … 大さじ1
  • 黒胡椒 … 適量
  • ナツメグ … 少々
  • パセリ(あれば)… 少々
  • 塩 … 適量

ポムタヤ(芋)の層

  • ポムタヤ(pomtajer / タロイモ系) … 約1kg
    ※ 入手困難な場合は「タロ芋・里芋・長芋ミックス」で代用可
  • レモン汁またはライム汁 … 大さじ2(変色防止・風味付け)
  • 砂糖 … 大さじ1(少し甘みを加える家庭が多い)
  • オレンジジュース … 50ml
  • バター … 大さじ2(溶かしておく)
  • 塩 … 少々

仕上げ

  • バター(表面用)… 少々

作り方

① 鶏肉を煮て下味をつける

  1. 鍋に油を入れ、玉ねぎ・ニンニクを炒める。
  2. そこへ鶏肉を加えて軽く焼き色をつける。
  3. トマト・オレンジジュース・スープ・調味料を加えて10〜15分ほど煮る。
    → ここで「しっかり味のついた鶏の煮込み」を作るイメージ
  4. 汁気は少し残る程度にして火を止め、粗熱を取る。

② ポムタヤ(芋)をすりおろして味をつける

  1. ポムタヤの皮をむき、変色しないうちにすりおろす。
  2. レモン汁、溶かしバター、砂糖、オレンジジュース、塩を加えて混ぜる。
    → しっとりしつつ、まとまりのあるペースト状が目安

③ キャセロール皿(耐熱皿)に層状に重ねる

  1. 耐熱皿の底にバターを薄く塗る。
  2. ポムタヤの半量を底に平らに敷く。
  3. その上に鶏肉+煮汁をまんべんなく広げる。
  4. 残りのポムタヤを上から覆うようにのせ、表面を平らにする。
  5. 表面に仕上げ用バターを少しのせる。

④ オーブンで焼く

180〜200℃で約60〜75分
(表面がこんがりきつね色になればOK)

⑤ 粗熱を取り、食べやすくカットする

ポムは 冷めると形がしっかりしてカットしやすくなるので、焼き上がり直後より、少し置いてから切るのが一般的。

食べるときは

  • そのまま
  • パンに挟んで“ポムサンド”として

よく食べられます。

まとめ

いかがでしたか?

今回はスリナムの国民食ポムを紹介しました。

複数の文化が混ざり合ってできた独特な風味は他ではなかなか味わえないものとなっています。

ご馳走としても親しまれており、現地でもとても愛されていることがわかりました。

それではこのポムを日本で提供しているところはあるのでしょうか?

ポムをはじめとしたスリナム料理はマイナーなため、提供はほとんどされていないようです。

お店で食べれなければ作るしかありませんね。

当記事でも、レシピを紹介しています。

しかし、ポムタヤ自体の入手も非常に困難なため、本場の味を楽しむのは難しいかもしれませんね。

代案はタロイモや里芋ですが、本場の味とは少し違ってしまいます。

これはスリナムに行くしかないですね。

今後はポムをはじめとしたスリナム料理が日本で食べれるようになってほしいと思います。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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