皆さんはサゴを知っていますか?
サゴとはパプアニューギニアを中心とした地域で使われているでんぷん粉のことです。
もちろんこのまま食べるわけではありませんよ!
サゴを使った料理はたくさん存在し、さまざまな地域で親しまれています。
どれも地域特有の特徴があり、粥や団子、スイーツにまで多岐にわたります。
今回はそんなサゴを使った料理についってご紹介しようと思います。
ぜひ最後までご覧ください。
サゴって何?
ヤシ由来のでんぷん粉

サゴとは、サゴヤシの一種の幹のでんぷん質からつくられる粉のことです。
このサゴヤシとは東南アジア~オセアニアで生育するヤシの一種で、幹の中に大量のでんぷんを蓄えます。
そしてそのでんぷんを乾燥させることでサゴはつくられます。
でんぷんを乾燥させることで、白く細かな粉末状で、さらさらとした手触りと外見になります。
水を加えることで粘りが出たりそのまま冷やして弾力を生み出すという特徴があります。
しかし、サゴ自体はほとんど無味無臭。
ほんのりとした甘さだけがあり、これだけで料理はできません。
サゴは他の具材と合わせることによってその魅力が生かされます。
サゴ料理はどんなものがある?
前の項目ではサゴは無味無臭のでんぷん粉であると説明しました。
では一体どんな具材と合わせたどんな料理があるのでしょうか?
ここではそのうちのいくつかを紹介します。
サゴ・ポリッジ
サゴ・ポリッジはサゴを煮て作った粥状の料理です。
サゴの水と混ざり合うと粘りが出る性質を利用してまるでおかゆのような食感を生み出します。
使われる具材には、
塩と野菜を使用した通常の食事向け
ココナッツや砂糖を使用するデザート風
の二通りがあります。
風味も素材の味を活かしやすく、サゴはその引き立て役でもあります。
そのため、粘りやほんのりとした甘さがベースとなり、食材による違いも楽しめます
サゴ・パンケーキ/サゴ・ケーキ

サゴに水やココナッツミルク、時にはバナナやサツマイモを混ぜて焼いたものです。
こちらも砂糖の有無や具材によって、デザート風やおかず向きの二通りが存在します。
デザート風は、砂糖やココナッツオイル、熟したバナナがサゴの甘みで包まれます。
ココナッツやバナナなどによっても香りづけされ、南国らしい風味が特徴です。
そしてこれをバナナの葉に包んで焼く「Saksak(サクサク)」という料理もあります。
一方でおかず向きのほうは塩気があり淡泊な味が特徴です。
魚や野菜の風味を引き立ててくれますが、コメやおかゆ代わりに食べるという印象が強いです。
もちっとしていて、腹持ちが良いという一面もあります。
サゴ団子(Sago balls / Saksak)
サゴを練って丸め、ゆでたり蒸したりしたものです。
デザートとして食べられることが多く、ココナッツソースやパームシュガーをかけるのが人気です。
パプアニューギニアをはじめ、インドネシアやソロモン諸島など広い範囲で親しまれています。
南国らしい香ばしさと甘さを持ち、ソースともちもち食感の団子がやみつきになります。
サゴ・ラーブ(Sago with meat or fish)

サゴを加熱して粘りを出し、焼き魚や燻製肉、野菜と一緒に食べるスタイルを指します。
また、主食として米の代わりにサゴが添えられることもあります。
サゴ料理の歴史
サゴヤシは東南アジア〜オセアニア、特に現在のパプアニューギニアやインドネシアのパプア州に広く分布しています。
栽培というより自然に生えていることが多く、湿地・低地帯の食料源として重宝されました。
文献によれば、13世紀にスンダ列島・マルク諸島あたりでサゴを食用としていた記録が確認されています。
そのため、サゴはそれ以前から食用とされていたと考えられます。
パプアニューギニア北部のセピック川流域などでは、サゴは日常的な主食であり、集落の食生活・儀礼・建築用材など多面的な役割を担っていました。
季節などに制約がある米・小麦に比べ、サゴヤシは湿地・沼地でも育つため、伝統的に「代替穀物/主食のひとつ」として機能してきました。
サゴは文化的に採取・粉化・調理などの過程が性別・年齢で役割分担されていたそうです。
また「豊穣」「生命力」の象徴として儀礼に絡む例もあります。
近年では、栽培・加工施設の整備、食品・工業用途への展開(麺、ガラス麺、菓子、澱粉素材)も進んでいます。
その一方で、輸入米・コメ文化の浸透によってサゴの食料自給が下がってきた地域もあります。
多くの生活を支えたサゴが下火になっているという事実は悲しいですね。
サゴ料理の作り方
サゴはパプアニューギニアやインドネシアをはじめとした太平洋諸島や東南アジアで広く利用されています。
そのため、サゴを使用した料理は「主食」「デザート」「とろみ付け」などさまざまです。
今回は地域ごとの代表的なサゴ料理をいくつか紹介します。
1. パプアニューギニアのサゴ・ポリッジ(Sago Porridge)

少し前でも紹介しましたが、サゴで作る伝統的な粥のような料理です。
朝食や軽食としてよく食べられます。
材料(2人分)
- サゴ:1カップ (計量カップの1カップ=200ml)
- 水:3カップ
- ココナッツミルク:1カップ
- 砂糖:大さじ2〜3(好みで)
- 塩:ひとつまみ
作り方
- 鍋に水を入れて温め、サゴを少しずつ加える。
- 弱火でとろみが出るまでかき混ぜる(約10分)。
- ココナッツミルクと砂糖、塩を加えてさらに5分煮る。
- 温かいうちに器に盛り付けて完成。
甘くしてデザート風にも、塩気を強くして主食風にもできます。
2. サゴ・パール・プディング(Sago Pudding)

マレーシアやインドネシアで人気のデザートです。
タピオカのような小粒サゴを使います。
材料(2〜3人分)
- サゴパール:1/2カップ
- ココナッツミルク:200ml
- パームシュガー(または黒糖):50g
- 水:2カップ
- 塩:ひとつまみ
作り方
- サゴパールを水に入れて10分ほど茹で、透明になるまで火を通す。
- 茹で上がったサゴを冷水で洗い、ぬめりを取る。
- 鍋でパームシュガーを少量の水とともに溶かし、シロップを作る。
- ココナッツミルクに塩を加え、軽く温める。
- 器にサゴを盛り、上からシロップとココナッツミルクをかけて完成。
3. サゴ・ルメ(Sago Leme)
インドネシア東部の伝統的なサゴの蒸しケーキ。
もちもちした食感が特徴です。
材料(3〜4人分)
- サゴ粉:1カップ
- ココナッツミルク:1カップ
- 砂糖:1/2カップ
- 塩:少々
- バナナの葉(または耐熱容器)
作り方
- サゴ粉、砂糖、塩をボウルで混ぜる。
- ココナッツミルクを少しずつ加えて、なめらかな生地にする。
- バナナの葉に包むか、耐熱容器に流し入れる。
- 蒸し器で20〜30分蒸す。
- 冷ましてから切り分けて提供。
4. アンボン島のパパダン(Papeda)

インドネシア・マルク諸島の代表的主食です。
サゴをとろとろに煮て、魚スープと一緒に食べます。
材料(2人分)
- サゴ粉:1カップ
- 水:3カップ
- 塩:少々
作り方
- 鍋に水を入れ、半量を沸騰させる。
- 残りの水にサゴ粉を溶かしておく。
- 沸騰した湯にサゴ水を少しずつ注ぎながらかき混ぜる。
- とろみがつき、透明なゼリー状になったら完成。
通常は「イカン・クニン(ウコン風味の魚スープ)」と一緒に食べます。
5. サゴ・ビスケット(Sago Biscuits)
マレーシアやシンガポールで人気の焼き菓子です。
サクサク軽い食感が特徴です。
材料(約15枚分)
- サゴ粉:100g
- バター:50g
- 砂糖:40g
- 卵黄:1個分
- バニラエッセンス:少々
作り方
- ボウルでバターと砂糖を白っぽくなるまで混ぜる。
- 卵黄とバニラを加えて混ぜる。
- サゴ粉を加えてまとめる。
- 小さく丸めて180℃のオーブンで15分焼く。
まとめ
いかがでしたか?
今回はパプアニューギニアを中心に親しまれているサゴを使った料理について解説しました。
サゴはほんのりとした甘みに加え様々な食感を生み出すという特性上、多くの素材と混ざり合い、その良さを引き出すような料理を多く生み出してきました。
みなさんにもぜひ一度は味わっていただきたい料理だと思います!
そして自分の好みを探してみてください。
では日本でサゴ料理を提供するお店があるのでしょうか?
結論から言うとなさそうです。
そういった専門店はなく、もしかしたら「南太平洋/メラネシア料理」や「パプアニューギニア料理」を提供しているお店には取り扱いがあるかもしれないので、気になった方は探してみてください。
おすすめの方法はお家でつくることです。
現地では朝食など、日常的に食べられているということもあり、作り方自体は非常にシンプルです。
サゴ粉もネット通販や「エスニック/東南アジア食材」を扱う店舗で取り寄せ可能な場合があります。
ややそこのハードルはありますが、家にいながら異国の味を味わうことができるのはいいですよね!
ぜひ興味がわいた方は挑戦してみてください!
最後までご覧いただきありがとうございました。
よければ他の記事も見ていってください!

コメント