皆さん、アヒージョを食べたことはありますか?
具材の旨味が溶け出したオイルに浸したバケットは新しい味の扉を開く衝撃です。
ぜひ皆さんに知ってほしいと思い、アヒージョについて網羅的にまとめました!
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アヒージョとは

「アヒージョ(Ajillo)」はエビや野菜をニンニクとオリーブオイルで煮るスペインの料理です。
スペイン語で「小さなニンニク風味」や「ニンニク風味の調理法」という意味を持ち、名前と同時に調理スタイルを指します。
「アヒージョ=エビのオリーブオイル煮」というイメージが強いですが、現地ではマッシュルームや鶏肉など幅広い食材を使用します。
また、アヒージョはスペインのタパス料理に分類されます。
タパス料理とはスペイン料理における小皿料理のことです。
様々な料理を味わうことができますが、その中でも強い人気を博しています。
アヒージョの歴史

アヒージョはスペイン南部のアンダルシア地方でオリーブオイルとニンニクを使ったシンプルな調理法として広まりました。
初期は「ガンバス・アル・アヒージョ(Gambas al ajillo)」と呼ばれ、海老などの魚介類をニンニク風味のオイルで煮込むのが特徴のものが主流でした。
日本で人気が出たアヒージョもこのガンバス・アル・アヒージョだったため、「アヒージョ=エビ料理」という認識の人が多いといわれています。
その後、19~20世紀頃にマドリードを中心にスペイン全土へと広まりました。
また、タパス料理の文化も同時にスペイン全土に広がりました。
タパス料理は小皿で多種類の料理を楽しむことができ、社交や会話を重視する食文化として知られます。
日本では2000年頃、スペインバルの流行やアヒージョの素の登場により流行しました。
スペインバルは、スペインにおける居酒屋や軽食酒場のような存在で、アヒージョはそこで提供される定番料理のひとつです。
アヒージョの雑学
土鍋(カズエラ)で提供する理由
アヒージョは「カズエラ(cazuela)」で調理・提供されます。
カズエラとは耐熱性のある素焼きの小鍋のことで、それでつくることがひとつの伝統となっています。
また、カズエラを使用するとオイルが冷めにくくなり最後まで熱々のまま楽しむことができます。

アヒージョの定番
アヒージョは具材そのものよりも「旨みの染み込んだオイル」が主役とされます。
そのため、パンなどにオイルをしみこませて食べるとおいしく食べることができます。
また、スペインではバケットに浸して食べるのが一般的です。
ワインやシェリーとの相性が抜群
アヒージョはお酒との相性が良く、おつまみのようにして食べられることも多くあります。
というのはワインの酸味がニンニクとオリーブオイルの濃厚さを中和してくれるからです。
特にアンダルシア地方では、地元のシェリー酒「フィノ」や「マンサニージャ」と一緒に食べられています。
アヒージョは前菜
スペインではアヒージョを昼食や夕食の“前菜”として食べることが多いそうです。
それはタパス料理としての側面が強くあるスペインにおいての文化からだと思います。
日本ではメインとして食べられることも多いので少し想像しずらいですよね。
創作アヒージョ
日本では「牡蠣のアヒージョ」「ブロッコリーのアヒージョ」など、いわゆる「創作アヒージョ」が誕生しています。
これらの創作アヒージョは逆輸入され、海外のレストランで提供されることがあります。
アヒージョの健康面
オリーブオイルは地中海食の中心的存在であり、心血管系の健康に良いとされています。
そのためアヒージョは“ヘルシーなタパス”としての人気も博しています。
アヒージョのバリエーション
前述したように、アヒージョにはガンバス・アル・アヒージョをはじめとしたさまざまなバリエーションがあります。
今回はそのいくつかをご紹介します。
エビのアヒージョ(Gambas al ajillo)
前でもお話ししたエビを使ったバリエーションです。
海老の旨みとガーリックの香りが強く出て、タパスの定番として味わわれます。

マッシュルームのアヒージョ(Setas al ajillo)
マッシュルームをニンニクオイルで煮込んでつくります。
キノコの水分と旨みがオイルに溶け込み、肉厚な食感のある一品です。

鶏肉のアヒージョ(Pollo al ajillo)
骨付きまたは一口大の鶏肉を使ったバリエーションです。
ジューシーで香ばしく食べ応えのある一皿で、スペインの家庭料理としても人気です。
また、白ワインを加えるレシピもあり、こちらはよりコクがでます。

タコのアヒージョ(Pulpo al ajillo)
ぶつ切りにしたタコを使うバリエーションです。
ぶつ切りにした後は下茹でをしておき、ガーリックオイルで軽く煮てつくります。
プリッとした歯ごたえとオイルの相性が抜群で、ワインのお供に最適です。

牡蠣のアヒージョ(Ostras al ajillo)
日本発の“創作アヒージョ”として人気です。
新鮮な牡蠣をニンニクオイルで煮込み、仕上げにレモンを絞ります。
濃厚でクリーミーな牡蠣の旨みがオイルに溶け出し、贅沢な一品になっています。

野菜のアヒージョ(Verduras al ajillo)
ブロッコリー、パプリカ、ズッキーニなどを使用するバリエーションです。
野菜の甘みが引き立ち、軽めでヘルシーな味わいです。
また、健康志向やベジタリアンの方にお勧めです。

砂肝のアヒージョ(Mollejas al ajillo)
下処理した砂肝をオイルで煮て調理するバリエーションです。
コリコリとした独特の食感とニンニクの香りが楽しめます。
日本の居酒屋風アレンジとして広まっているそうです。

アヒージョの作り方
今回は、代表的な 「エビのアヒージョ(Gambas al ajillo)」 を例に、詳しい作り方を説明します。
バルでも家庭でも一番人気のレシピで、他の具材に応用も可能ですので、ぜひ挑戦してみてください。
材料(4人分)
- エビ(殻付きでもむき身でも可) … 200〜250g
- ニンニク … 3〜4片(スライスまたはみじん切り)
- 鷹の爪(赤唐辛子) … 1本(輪切り)
- オリーブオイル … 約100ml(具材が浸るくらい)
- 塩 … 少々
- パセリ(みじん切り) … 適量
- バゲット(添える用) … 適量
下準備
- エビの処理
- はじめに殻付きなら殻をむき、背ワタを取る。
- 塩水でさっと洗い、キッチンペーパーで水分を拭き取る。
- 軽く塩を振って下味をつける。
- ニンニクと唐辛子
- ニンニクは焦げやすいのでスライスが基本。香りを強く出したい場合は半分みじん切りにする。
- 鷹の爪は種を取り除くと辛さがマイルドになる。
調理手順
- オイルに香りを移す
- はじめに小鍋やスキレット(できれば土鍋風のカズエラ)にオリーブオイルを入れる。
- 弱火にかけ、ニンニクと唐辛子を入れてゆっくり温め、オイルに香りを移す。
- エビを加える
- オイルがフツフツして香りが立ったら、エビを加える。
- 中火〜弱火で、エビが赤く色づくまで煮る(約2〜3分)。
- 仕上げ
- 塩で味を整え、火を止める。
- 最後にパセリを散らして彩りを加える。
- 提供
- 熱々のままテーブルに出す。
- バゲットをオイルに浸して食べるのが定番スタイル。
美味しく作るポイント
- 火加減は弱め
→ ニンニクは焦がすと苦味が出るので注意。香りをじっくり引き出すのがコツ。 - オイルの量はケチらない
→ 具材が浸るくらいたっぷり使うと、旨みが溶け込んだ“オイルソース”をバゲットで楽しめる。 - 具材アレンジ
→ エビをマッシュルーム、牡蠣、タコ、野菜などに置き換えても同じ手順でOK。
アレンジ例
- 仕上げに白ワインやシェリーを加える → 香りとコクが増す。
- レモンを軽く絞る → さっぱりした風味。
- パプリカパウダーを加える → スペインらしい香りが強まる。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はスペイン料理のアヒージョを紹介しました。
個人的にアヒージョは大好物なので今回アレンジ案などを知れて書いた自分が満足しています。
作り方は前菜として提供されるぐらいなので気軽に作れるのではないかなと個人的に思います。
必要なカズエラも耐熱のある容器や鍋でも代用できるようなので、今度挑戦しようと思います。
この記事を読んで少しでも多くの人がアヒージョに興味を持って、食べたいなあと思っていただけたら嬉しい限りです。
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