クスクスの歴史と小話|基本の作り方を徹底解説

Morocco

異国の風を感じる香り高いスパイス、素朴でどこか懐かしい味わい――それがモロッコの伝統料理「クスクス」です。北アフリカにルーツを持つこの料理は、モロッコの家庭や祝いの席で何世代にもわたって受け継がれてきました。

クスクスは、ただの主食ではなく、人と人とをつなぐ特別な存在でもあります。そんなクスクスの魅力を、歴史や文化とともに紐解いていきましょう。

クスクスとは

クスクスは、北アフリカを代表する伝統的な主食の一つです。主にデュラム小麦の粗挽き粉を水と混ぜて粒状にし、蒸して調理します。

クスクスは、北アフリカ(特にモロッコ、アルジェリア、チュニジアなど)を代表する伝統的な主食の一つです。主にデュラム小麦の粗挽き粉(セモリナ)を水と混ぜて粒状にし、蒸して調理します。

「パスタの原型」とも言われることがあり、米やパンの代わりに主食として使われています。

モロッコでは、野菜やひよこ豆、ラム肉や鶏肉などと一緒に煮込んだスープとともに提供されるのが一般的で、香辛料(クミンやシナモン、サフランなど)の香りが豊かに広がる料理です。

TasteTune「Couscous」

皆さん、tastetuneの音楽「Couscous」はお聞きになりましたか?
料理をより多くの人に親しんでもらうため、おいしいと感じてもらうために音楽として公開するということが、このtastetuneの根幹をなしています。
ここでは、この音楽に込められた思いや表現、工夫をご紹介します。

大地の響きと伝統の音色

この曲の中心にあるのは、モロッコの伝統的な音です。
手で叩く太鼓のリズムは、クスクスの小さな粒の食感や、それを囲んでにぎわう人々の姿を思い出させます。弦楽器ウードの深みのある音は、モロッコの砂漠を吹き抜ける風のように心に広がり、どこか懐かしさや温かさを感じさせます。こうした楽器たちが、クスクスに込められた歴史や文化を音で表しているのです。

スパイスと野菜の重なりを音で表現

曲全体を包む軽やかな響きは、クスクスに欠かせないスパイスの香りや、時間をかけて煮込んだ野菜の深い味わいを思わせます。ふんわりとした音は、湯気のように立ち上る香りを、重なり合う音の層は、いろんな素材が混ざり合って生まれる豊かな味を表現しています。聴く人は、まるでクスクスを食べているかのように温かさと風味を感じられるでしょう。

砂漠の風と食卓の温もり

この曲はただ料理を音で描くだけではなく、モロッコの風景も映し出します。
軽やかな響きは砂漠を吹き抜ける乾いた風を思わせ、広大な自然へと心を誘います。そして太鼓やウードの音は、家族や友人とクスクスを囲む温かい食卓を感じさせます。それは、クスクスが人々の暮らしと強く結びついていることを物語っているのです。

耳で味わうクスクス

この曲は、ただのBGMではありません。クスクスの「温かさ」、スパイスの「香り」、そしてモロッコの「文化」を耳から味わえるように作られています。目を閉じれば、砂漠の風景や賑やかな食卓が浮かび上がるでしょう。ぜひ、この“クスクス”を心ゆくまで味わってください。

クスクスの歴史

クスクスの歴史は、今からおよそ2000年前、紀元前2世紀の北アフリカに住んでいたベルベル人たちの暮らしに始まります。彼らは、限られた食材を工夫して調理する中で、デュラム小麦を小さな粒にして蒸し上げるという技法を生み出します。
そして、この技法が後のクスクスの原型となりました。

やがて中世に入り、イスラム教の広がりや交易の発展に伴ってクスクスも広く伝わっていきます。モロッコでは特に、金曜日の礼拝後の家族の食卓や祝いの席など、特別な日を彩る料理として定着しました。家庭ごとに異なる味つけや具材があり、それぞれの地域に根ざしたスタイルが受け継がれています。

19世紀以降、フランスの植民地政策とともにヨーロッパへも渡り、北アフリカからの移民によって現地の食文化に取り込まれていきます。現在では、フランスやイタリアのスーパーでも手軽に買えるほど、国境を越えて親しまれる存在となりました。

そして、2020年には、モロッコ、アルジェリア、チュニジア、モーリタニアの4カ国が共同申請した「クスクスを作る技術や文化」が、ユネスコの無形文化遺産に登録され、改めてその文化的価値が世界に認められました。

クスクスにまつわる小話

クスクスは無形文化遺産

ユネスコの無形文化遺産に登録されたことにより、クスクスは単なる料理ではなく、「人と人をつなぐ文化」として世界的にも評価されています。家庭で受け継がれてきた調理の知恵や食卓の風景が、未来にも残されるべき貴重な文化として注目を集めています。

甘いクスクス「セッファ」も人気

クスクスというと塩味の料理を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、モロッコでは「セッファ(Seffa)」と呼ばれる甘いクスクスもあります。これは蒸したクスクスに粉砂糖、シナモン、バター、レーズン、アーモンドなどを加えたスイーツのような一皿で、結婚式などのお祝いごとにもよく登場します。

モロッコのおもてなしの象徴

クスクスはモロッコにおいて、「お客様を迎える料理」の代表格です。
そのため、特別な日にだけでなく家族で集まる日や近所での集まりにも欠かせません。
ひとつの大皿をみんなで囲んで食べるというスタイルには、「分け合う心」や「助け合いの精神」が表れています。

栄養価が高く、現代でも注目

クスクスは、低脂肪・高タンパクで食物繊維も豊富なことから、近年では健康志向の人々の間でも人気が高まっています。炭水化物を摂りつつも軽やかな食べ心地が魅力で、サラダやスープ、メインディッシュなどにも応用されています。

クスクスの作り方

本場モロッコでは、クスクスは専用の蒸し器(クスクシエ)を使って丁寧に蒸し上げます。しかし、最近ではインスタントクスクスを使えば、家庭でも手軽に再現できます。ここでは、日本のキッチンでも作りやすい簡単なクスクスレシピをご紹介します。

材料(2〜3人分)

  • クスクス(乾燥)……150g
  • 熱湯……180ml
  • オリーブオイル……大さじ1
  • 塩……少々

具材例:

  • 鶏もも肉……150g(食べやすい大きさにカット)
  • 玉ねぎ……1個(薄切り)
  • にんじん……1本(斜め切り)
  • ズッキーニ……1/2本(輪切り)
  • ひよこ豆(ゆで)……1/2カップ
  • トマト缶(カットタイプ)……1/2缶
  • にんにく……1片(みじん切り)
  • クミンパウダー、シナモン、ターメリック……各小さじ1/2
  • 塩・こしょう……適量
  • オリーブオイル……大さじ1

作り方

  1. 具材の準備
    鍋にオリーブオイルを熱し、にんにくと玉ねぎを炒めます。
    香りが立ったら鶏肉を加えて焼き色がつくまで炒めます。
  2. スープ作り
    にんじん、ズッキーニ、ひよこ豆、トマト缶、スパイス類を加えます。
    全体をなじませたら水を400mlほど加え、約15分煮込みます。最後に、塩・こしょうで味を調えましょう。
  3. クスクスの蒸らし
    別のボウルに移し、熱湯を注いで塩とオリーブオイルを加えます。
    ラップやフタをして5分ほど蒸らし、フォークでふんわりほぐせば完成です。
  4. 盛り付け
    皿にクスクスを広げ、具だくさんのスープをかけて召し上がれ。お好みでレーズンやナッツをトッピングしても美味しいです。

まとめ

クスクスは、モロッコの人々の暮らしと心を映す、奥深くてあたたかな料理です。
一皿に込められた歴史や文化、家族の絆は、食べる人にやさしく語りかけてくれます。
身近な食材でも作れるので、ぜひご家庭でも試してみてください。
きっと、異国の風を感じながら食卓が少し特別な時間になるはずです。

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