ピカロネスの歴史とトリビア|作り方完全解説

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皆さんはピカロネスを知っていますか?
ピカロネスは見た目がドーナッツでなんとカボチャやサツマイモを用いて作られます。
外側はカリッと中はふわもち、シロップの染みた香り高い味わいが特徴です。
今回はそんなピカロネスについて歴史から作り方までまとめました!
最後までお楽しみください!

TasteTuneでは、世界各国の多彩な料理をご紹介するとともに、その料理を表現した音楽もお届けしています。
YouTubeやSpotifyなど各種サブスクリプションで配信中ですので、この記事とともにお楽しみください。

ピカロネスとは

ピカロネスは、ペルーで親しまれているドーナツの一種で、小麦粉のほかにサツマイモやカボチャを用いるのが特徴です。

ピカロネスは、ペルーで親しまれているドーナツの一種で、小麦粉のほかにサツマイモやカボチャを用いるのが特徴です。
「ピカロネーラ」と呼ばれる売り手は、濡らした手で柔らかい生地をすくい、親指で中央に穴をあけながら高温の油へ落としてリング状に成形します。
この伝統的な所作によって、外はカリッと香ばしく、中はふんわりもちっとした食感に仕上がります。

仕上げには、黒糖にシナモンや柑橘の皮など煮詰めたシロップ(ミエル・デ・チャンカカ)をかけるのが定番です。
このシロップが素朴な風味と香りを引き立てます。

見た目はドーナツに似ていますが、生地にサツマイモやカボチャのピュレを使うため、独特の風味としっとり感が生まれる点に大きな違いがあります。

TasteTune「Picarones」

皆さん、Tastetuneの音楽「Picarones」はお聞きになりましたか?

この音楽はピカロネスからインスピレーションを得て、その甘美な風味と、ペルーの活気ある夜市の雰囲気を音で表現した、陽気でエネルギッシュな音楽作品です。

聴く者をペルーのストリートカーニバルへと誘い、伝統的なお菓子の持つ温かさと喜びを、表現していますのでぜひ聴いてみてください!

以下ではこの音楽作品に込められた思いや表現、工夫をご紹介します。

弾ける生地ととろける甘さ:音で描く味わい

この楽曲の中心にあるのは、ピカロネスが持つ調理の楽しさと甘やかさを「音」で映し出していることです。

熱い油に落とされた生地がパチパチと弾ける音は、まるで夜祭りの賑やかな笑い声のように、心躍るリズムとして響きます。

それは、ピカロネスの軽やかな食感と、作られる瞬間の活気を耳で感じさせてくれるのです。

そして、琥珀色のシロップがとろりと生地にまとわりつく様子は、甘く広がる音の重なりで表現され、一口ごとに訪れる至福の甘さを想い起こさせます。

祝祭のリズムとエネルギー

楽曲全体には、祝祭のようなエネルギーがあふれています。

軽快なフルートの旋律とリズミカルな打楽器の響きは、まるでストリートカーニバルで踊る人々の足取りのよう。

音に包まれているだけで、自然と笑顔になり、体が揺れ動くような感覚を呼び起こします。

この響きは、ペルーの伝統が持つ陽気さや温もりをそのまま伝え、ピカロネスがただのデザートではなく、人々を繋ぎ、喜びを共有する特別な存在であることを物語っています。

温かさと幸福を紡ぐ音の物語

この作品から伝わるのは、「温かさ」「喜び」「幸福感」です。甘いシロップの味わいとともに、ペルーの文化に宿る明るい精神を感じ取ることができます。

それは、食べる楽しさを超えて、人と人とのつながりや、心を満たす時間を思い出させてくれる体験です。

耳で味わうピカロネスの真髄

この楽曲は、ただのBGMではありません。

ピカロネスが持つ「甘やかさ」、調理の「賑わい」、そして「祝祭の楽しさ」を耳で味わうことができる、まるで一つの芸術作品です。

音に身をゆだねれば、ペルーの街角に漂う香りや人々の笑顔が浮かんでくるよう。

どうぞ、この音の旅に心を委ね、ピカロネスの世界を存分にお楽しみください。

ピカロネスの歴史

ピカロネス

はじめは16世紀以前までさかのぼります。
当時のアンデス地域では、サツマイモやカボチャを日常的に食べていました。
これらをすりつぶして食べるという習慣がピカロネスの原型につながったといわれます。

これが現在のピカロネスの形となったのが16世紀のスペイン植民地時代です。
きっかけはスペインによって「ブニュエロ(buñuelo)」という焼き菓子が持ち込まれたことです。
しかし、ペルーでは小麦粉や砂糖は高価なもので、なかなか作れるものではありませんでした。
なので地元産のカボチャとサツマイモを混ぜた生地が考案され、それが今のピカロネスに繋がります。

その後のピカロネスは家庭や街頭販売によってペルー首都のリマを中心に知られます。
1798年の文献『Lima por dentro y fuera』には「ピカロネス」の記述があります。
これが現存する最古の文献上の記録とされています。

19世紀以降、ピカロネスはペルーの定番スイーツになりました。
この頃からリマの街頭や市場に「ピカロネーラ」が登場し始めます。
ピカロネーラとはピカロネスを作って売る人のことで、特に屋台の女性売り手を指します。

20世紀以降は国外でも広く知られることのなります。
世界の揚げ菓子ランキングでも高評価を獲得し、観光や食文化紹介の場で紹介されるようになります。
また、2011年にはペルー文化省がピカロネスを「国家文化遺産」に認定しています。

ピカロネスのトリビア

宗教とピカロネス

ピカロネスはペルーにおける信仰・共同体意識と結びついた食文化遺産です。
家庭でも作られますが、宗教行事の際に「共有・施し・祝祭」の象徴として屋台で売られることが多いです。
食べる行為そのものが、宗教行事に参加する人々の「連帯感」を強める役割を果たしています。

また、ペルーでは毎年10月にセニョール・デ・ロス・ミラグロス(Señor de los Milagros)が行われます。
これはペルー最大の宗教行事で、カトリックの行列がリマで行われます。
この時期になると、町のいたるところにピカロネスの屋台が立ち並びます。

ピカロネスのバリエーション

ピカロネスは基本的にカボチャとサツマイモの生地を揚げて、黒糖シロップをかけるものですが、地域や家庭によっていくつかの バリエーション があります。
そのうちのいくつかを紹介します。

具材の違い

  • サツマイモの代わりにユカ(キャッサバ)を混ぜるレシピ。
  • かぼちゃの割合を増やし、より柔らかく風味豊かにするレシピ。
  • 小麦粉を多めに入れて、ドーナツに近い食感にする家庭もあります。

甘みのアレンジ

  • 黒糖(チャンカカ)のシロップに蜂蜜や砂糖を加えるレシピ。
  • シロップにオレンジの皮、アニス、クローブ、シナモンを効かせる地方的な風味。
  • ペルー国外では、メープルシロップやチョコレートソースをかける現代風のアレンジも存在します。

形の工夫

  • 伝統的にはリング状だが、丸く平たい形や小さな団子状に揚げる場合もあります。
  • 屋台によっては小ぶりにして「食べ歩き用」に提供されます。

ピカロネスの名前の由来

ピカロネスの名前は、スペイン語で「いたずら好き」を意味する『pícaro』に由来しており、つい手を伸ばしたくなる甘いお菓子という意味が込められています。
食べ始めると止まらないおいしさを表現するため、やんちゃで魅力的なお菓子を指して名付けられました。
その軽やかで誘惑的な味わいから「いたずら好きなお菓子」として親しまれています。

「アルミバール・デ・チャンカカ」

アルミバール・デ・チャンカカは、黒糖(チャンカカ)を溶かしてシナモンやクローブ、オレンジの皮で香りづけしたペルー伝統のシロップで、揚げたピカロネスにかけて提供されます。
このシロップは、黒糖を煮詰めて作るペルー独特の甘味で、香り豊かで濃厚な味わいがピカロネスの魅力を高めています。

ピカロネスの作り方

材料(4人分程度)

  • かぼちゃ … 300g
  • サツマイモ … 200g
  • 強力粉 … 250g
  • ドライイースト … 7g
  • 砂糖 … 大さじ2
  • 塩 … ひとつまみ
  • 水 … 100ml程度
  • 揚げ油 … 適量
  • チャンカカ(黒糖)シロップ … 適量

作り方

  1. 根菜の下処理
    まず、かぼちゃとサツマイモは皮をむき、一口大に切ります。
    そして、蒸すか茹でて柔らかくし、フォークやブレンダーで滑らかにピュレ状にします。
  2. 生地作り
    次に、ピュレに砂糖、塩、ドライイースト、水を加えてよく混ぜます。
    さらに強力粉を少しずつ加え、手でこねて弾力のある生地にまとめます。
    その後、ラップをかけて温かい場所で約1時間発酵させます。
  3. 形を整える
    発酵が終わったら、生地を軽く打ち粉をした台に取り出します。
    そして、小さめのボール状に丸め、指で中央に穴をあけてリング状に整えます。
  4. 揚げる
    油を170〜180℃に熱し、生地を入れて両面がきつね色になるまで揚げます。
    揚げたらペーパータオルで余分な油を切ります。
  5. 仕上げ
    最後に温かいうちにチャンカカシロップをかけます。
    こうして、ふわふわで香ばしいピカロネスの完成です。

ポイント

  • 発酵をしっかり行うと、ふわふわで軽い仕上がりになります。
  • シロップは好みに応じてスパイスやオレンジの皮で香りづけすると、より伝統的な味になります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回はペルーの伝統的なお菓子のピカロネスをまとめてみました!

こうやって調べていくと、伝統的な料理と宗教の結びつきがある地域や国はとても多いと思いました。
今回のピカロネスはペルーでの宗教行事などと結びつきもはや一体化していました。
たかがお菓子ではなく、こうした関係性を通して歴史や人々の思いを知ることができるのは本当に素晴らしいことだと思います。

日本ではペルー料理店などでピカロネスを食べることができます。
また、自宅でも自分で作ることもできるのでぜひつくって味わってみてほしいです。

この記事を読んでピカロネスに興味を持っていただけたら嬉しいです。
最後までありがとうございました!

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