フランスのプチお菓子といえばカヌレ!デザートとしてや紅茶やワインと一緒にとさまざまな場面で楽しまれます。今回はそんなカヌレについて深掘っていこうと思います。作り方から意外とたくさんあるバリエーションまで、ぜひ最後までお楽しみください。
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カヌレとは
カヌレの正式名称はカヌレ・ド・ボルドー(Cannele de Bordeaux)といいます。このボルドーというのは、カヌレがボルドー女子修道院で生まれたとされることに由来しています。
また、カヌレ(Cannele)にはフランス語で「溝のついた」という意味があります。名前の通りカヌレには中央に溝があるという特徴がありますね。
カヌレの歴史
カヌレはボルドー女子修道院(アンノンシアード修道院)で誕生したといわれています。17〜18世紀のボルドーはワインの一大生産地でした。ワイン清澄の過程では卵白だけが使用され卵黄が大量に余ります。大量に余った卵黄を無駄にしないために作られるようになったのがカヌレの始まりと言われています。
修道女たちは、その小さな焼き菓子を地域の貧しい人や船乗りに配っていたとされます。
ただし、フランス革命の際にこの修道院は閉鎖されており、関連資料の消失などからあくまで有力説として語られています。
また、フランス革命後はしばらくの間、この焼き菓子は製造されませんでした。
その後、1830年ごろのパティシエの手によって復活。ラム酒やバニラを加えるようになり、それが現代の形になりました。
1985年には「カヌレ・ド・ボルドー兄弟会(Confrérie du Canelé de Bordeaux)」が設立され、伝統のレシピを守りつつ「canelé」という名称を統一したブランドとして登録されました。
カヌレと日本
第一次ブーム
日本では、1990年代に一度カヌレブームが起きました。
全国のフランス系専門店でカヌレの取り扱いをするようになり、そこから徐々に人気になり始めました。
このときに、日本でカヌレという焼き菓子が知られるようになります。
第二次ブーム
2010年代にカヌレが再び注目されるようになり、第二次ブームと言われています。
専門店だけでなく、百貨店やスーパー、コンビニなどでも取り扱われるようになりました。
コンビニでは、ローソンの「濃密カヌレ」がヒット。セブンイレブンやファミリーマートも相次いでカヌレ商品を発売し、手軽な価格で楽しめる品として広く普及しました。
特に大阪でカヌレの需要が高まり、全国に波及したと言われています。
進化系カヌレ
日本では独自に「進化系カヌレ」というものが存在します。トッピングやフレーバーをはじめ、“生カヌレ”や“半熟タイプ”など、さまざまなバリエーションが楽しめます。
例として、18種類のフレーバーを展開する新潟発の専門店「Canele de CHIANTI」では、塩キャラメルや西京味噌など、独創的な味も提供されています。
また、東京・新宿の「canele TRI-CO」では酒粕やさくらあん、ほうじ茶といった和素材を取り入れたカヌレが毎月登場しています。
ほかにもスイーツ系をはじめ、フルーツ系やワインに合う系まで本場フランスでは味わえないようなテイストを楽しめます。
カヌレの作り方
材料(カヌレ型 8〜10個分)
- 牛乳…500ml
- 無糖バター…25g
- バニラビーンズ(またはバニラペースト)…1/2本(小さじ1)
- 卵黄…2個分
- 全卵…1個
- グラニュー糖…200g
- 薄力粉…100g
- ダークラム…大さじ2
- 蜂蜜(あれば)…小さじ1
- 蜜蝋(またはバター+少量の油)…型のコーティング用
作り方
① 生地を作る
- 牛乳・バター・バニラを温める
小鍋に牛乳・バター・バニラビーンズ(さやも)を入れて中火で温め、沸騰直前で火を止めます。
→ バニラの香りをしっかり移す。 - 卵と砂糖を混ぜる
別のボウルに卵黄・全卵・グラニュー糖を入れ、泡立てないように混ぜます。
→ 混ぜすぎて泡立つと焼き上がりが荒れます。 - 粉を加える
薄力粉をふるい入れ、粉っぽさがなくなるまで混ぜます。 - 温めた牛乳を加える
バニラのさやを取り除き、温かい牛乳を少しずつ加えてなめらかに混ぜます。 - ラム酒を加える
粗熱が取れたらラム酒と蜂蜜を加えます。
② 一晩寝かせる
- 生地を濾して容器に入れ、ラップをかけて冷蔵庫で24時間以上寝かせます。
→ グルテンが落ち着き、焼き上がりの食感がなめらかになります。
③ 型の準備
- 銅製型を使う場合は、蜜蝋とバターを1:1で溶かして内側に塗ります(香ばしさUP)。
- シリコン型の場合はバターかオイルスプレーでOK。
④ 焼く
- オーブンを250℃に予熱。
- 型の8分目まで生地を注ぐ。
- 250℃で10分焼き、その後180℃に下げて50〜60分じっくり焼く。
→ 表面がしっかり濃いきつね色〜こげ茶になるのが理想。 - 焼き上がったらすぐに型から外し、粗熱を取る。
美味しく仕上げるポイント
- 高温で最初に焼き固め、低温で中をじっくりが黄金パターン。
- 蜜蝋を使うと外側がカリッと香ばしく、日持ちもしやすくなります。
- 食べ頃は焼き立て〜翌日まで。外はカリカリ、中はもっちりの食感が楽しめます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回はフランスの焼き菓子「カヌレ」について歴史から作り方までご紹介しました。
修道院から始まった焼き菓子は海を渡り、いまや日本をはじめとした世界で楽しまれる料理となりました。いろいろな場面で様々な形となって楽しまれるカヌレの良さを少しでも皆さんに知っていただけたら嬉しいです。
私自身もスーパーやコンビニに売ってあるタイプのカヌレが好きでよく口にしていたので、今度は専門店のカヌレを食べてみようと思いました。
皆さんも食後のちょっとしたデザートに、ワインのお供に、優雅なティータイムに一緒にいかがでしょうか!
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