タッカルビ通りへようこそ

South Korea

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甘辛いコチュジャンベースのたれで鶏肉や野菜を炒めるタッカルビ。近年では、チーズをトッピングする「チーズタッカルビ」などで日本でも人気のある料理の一つです。

今回はそんな甘辛く、コクのある旨味が特徴のタッカルビについて、掘り下げていこうと思います!

TasteTuneでは、世界のさまざまな料理を紹介していくとともに、その料理に合った音楽も提供しています。YouTubeをはじめ、Spotifyなどの各種サブスクリプションでも配信されているので、ぜひお聞きください。

タッカルビの歴史

タッカルビの発祥地は、韓国北部の江原道(カンウォンド)にある春川(チュンチョン)という都市です。この地域は自然豊かで観光地としても知られていますが、「春川タッカルビ」はこの町を代表するご当地グルメとして全国的に知られています。

1960年代、韓国では牛肉料理(カルビ焼きなど)は高級で庶民には手が届きづらいものでした。そのような中で、鶏肉を代用して安価に提供できる焼き料理として考案されたのが「タッカルビ」です。

名前の由来も、「タッ(鶏)+カルビ(あばら肉・焼肉)」という、牛肉料理を模した呼び方から来ています。
最初期のタッカルビは、現在のような鉄板料理ではなく、炭火焼きのスタイル(火鉢)で提供されていました。しかし、より多くの具材を一度に調理できるよう、鉄板焼きスタイルへと変化していきました。

今ではタッカルビは、家庭料理・外食・観光地グルメのすべてをカバーする人気メニューです。レトルトや冷凍食品、ミールキットでも手軽に楽しめるようになり、韓国を代表する庶民派グルメとしての地位を確立しています。

タッカルビの種類

● チーズタッカルビ(치즈 닭갈비)

タッカルビにとろけるチーズ(モッツァレラ、チェダーなど)を敷き、具材に絡めて食べるスタイルです。チーズのまろやかさによって、子どもや辛い物が苦手な方にも人気があります。
また、日本でタッカルビを広く知らしめるきっかけになったタイプでもありますね。
SNS映えするビジュアルがポイントで、居酒屋や韓国料理店の定番となっています。

● 激辛タッカルビ(매운 닭갈비)

通常のタッカルビよりも唐辛子やコチュジャンをおおく使った刺激的な味が楽しめます。韓国では、辛さレベルを選べる店も多く存在しているようです。
「地獄タッカルビ」のような名前付きの激辛メニューも存在し、友人と「誰が一番辛さに強いか」などの挑戦もよく行われているそうです。

● カレータッカルビ

こちらはカレー粉やカレーソースを加えたアレンジ版です。辛さをマイルドにしたり、香りを加えたりする目的でつくられます。
チーズタッカルビのように、チーズを組み合わせるとより食べやすくなります。
日本人の味覚にも合いやすく、「カレータッカルビ丼」というものもあるそうです。

● 海鮮タッカルビ(해물 닭갈비)

こちらは豪華にイカ、エビ、ホタテなどの海鮮を追加するタイプです。鶏と海鮮の両方の旨味が出て濃く深い味わいが楽しめます。
特に漁港などでよく見られ、旬の海産物と合わせると地域性の強い一品を楽しめます。

● クリームタッカルビ

韓国の一部カフェ風レストランなどで出される洋風アレンジ系タッカルビです。牛乳や生クリームを使い、まろやかで濃厚な味に仕上げます。
「グラタン風タッカルビ」とも呼ばれ、辛さがなく初心者にもおすすめしやすい一品となっています。

● 野菜たっぷりタッカルビ(건강 닭갈비)

ヘルシー志向の方向けに、鶏肉を少なめにして野菜中心に仕上げるスタイルです。食物繊維やビタミンをしっかりとれるので、ダイエットメニューとしても紹介されるそうです。
主にキャベツ、もやし、きのこ類、ブロッコリーなどを使用されますが、味付けは通常と同じくコチュジャンベースです。

● 春川スタイル・オリジナルタッカルビ:炭火焼きタッカルビ(숯불 닭갈비)

本場・春川では、骨付き鶏肉や大きめの鉄板、炭火焼きを使う伝統的なスタイルも残っています。
香ばしい風味が特徴で、通常よりシンプルな味付けで素材の味を活かすような製法でつくられています。春川の専門店ではトッピングや調味料の持ち込みOKの店もある点も一つの特徴ですね。

● 即席・インスタントタッカルビ

タッカルビにはレトルトや冷凍食品、カップ麺型のものもあります。電子レンジで温めるだけで食べることができ、スーパーマーケットや韓国系通販で入手できるため忙しい人をはじめ、お土産・家庭用としても人気があります。
また、日本でもコンビニや冷凍食品として販売されているようですね。

タッカルビの雑学・豆知識

春川タッカルビ通り(춘천 닭갈비 골목)

「春川タッカルビ通り」は、韓国・江原道(カンウォンド)春川市にある有名なグルメストリートです。その名の通り、タッカルビ専門店がずらりと軒を連ねるエリアで、韓国国内外の観光客にとって人気のスポットとなっています。

1970年代、春川駅の近くに数軒のタッカルビ店が集まり始めたことがはじまりと言われています。鶏肉を使った鉄板料理という、当時は珍しかったスタイルが話題になりました。

1980年代になると“春川といえばタッカルビ”というイメージが定着し、地元の名物料理として全国に広まりました。
その後、観光振興の一環として、駅近くにあった店舗が再開発され、現在の「春川明洞タッカルビ通り(춘천 명동 닭갈비 골목)」として整備されました。

通りの両側には20店舗以上のタッカルビだけを提供する専門店が立ち並び、各店ごとに食べ比べが楽しめます。
本場の店では、チーズ、海鮮、野菜、ご飯などを自由に追加できることが多く、自分好みにカスタマイズ可能です。前述したタッカルビの種類などから、お好みのものを見つけるのもいいですね。

基本のタッカルビの作り方(2~3人分)

材料

【主な具材】

  • 鶏もも肉…300〜400g(ひと口大にカット)
  • キャベツ…1/4個(ざく切り)
  • 玉ねぎ…1個(薄切りまたはくし切り)
  • にんじん…1/2本(細切り)
  • さつまいも…1本(5mm厚程度の薄切り)
  • トッポギ(韓国餅)…100g
  • ニラ…1/2束(5cm幅カット・お好みで)

【タレ(ヤンニョム)】

  • コチュジャン…大さじ2
  • コチュカル(粉唐辛子)…大さじ1(お好みで)
  • 醤油…大さじ1.5
  • 砂糖…大さじ1
  • みりん…大さじ1
  • にんにく(すりおろし)…1片分
  • ごま油…大さじ1
  • おろししょうが…少々(お好みで)

【トッピング(チーズタッカルビの場合)】

  • とろけるチーズ(モッツァレラ、ピザ用)…100〜150g

作り方

下準備

  1. 鶏肉に下味をつける
    鶏もも肉をタレの半量で30分〜1時間ほど漬け込む。しっかり味が染み込むとおいしいです。
  2. 野菜をカットする
    キャベツ、玉ねぎ、にんじん、さつまいもなどを食べやすい大きさに切っておく。
  3. トッポギを戻す
    市販のトッポギは固い場合があるので、お湯で数分ゆでて柔らかくしておく(説明書きに従う)。

調理手順

  1. フライパンまたはホットプレートを中火で熱する
    サラダ油を少量引いて、漬け込んだ鶏肉を先に焼き始める。
  2. 鶏肉の表面に火が通ってきたら、野菜類を加える
    キャベツ、玉ねぎ、にんじん、さつまいもを加えて一緒に炒める。焦げないように混ぜながら炒める。
  3. タレの残りを加えて、全体に絡める
    途中でトッポギも加える。
  4. 具材にしっかり火が通ったら完成
    野菜がしんなりして鶏肉に火が通ればOK。
  5. (チーズタッカルビの場合)チーズを加える
    フライパンの中央を空けて、チーズをたっぷり投入。
    チーズがとろけたら、鶏肉や野菜を絡めて食べる!

締め(焼き飯・ポックンパ)

  1. 残った具材とタレにご飯(1〜1.5膳)を加える
  2. よく混ぜて炒める(キムチや海苔を加えても◎)
  3. お好みでチーズや卵を追加し、カリッと焼いたら完成!

調理のポイント

辛さはコチュジャンと粉唐辛子の量で調整可能です。
さつまいもを入れると甘みが加わってマイルドになります。
漬け込みがしっかりされているほど味が濃く、肉がやわらかくなります。

まとめ

タッカルビは、甘辛いたれで鶏肉や野菜を炒めた、みんなで楽しめる韓国の人気料理です。
チーズをのせたチーズタッカルビをはじめ、さまざまな種類があるタッカルビは子どもから大人まで楽しめます。
本場・春川には、タッカルビ専門店が並ぶ通りもあり、地元の味を楽しむこともできます。

気軽に作れるレシピも多いので、ぜひ一度、おうちでもタッカルビにチャレンジしてみてください。
一口食べたら、きっとハマってしまうこと間違いなしです!

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