アレパの歴史と雑学|アレンジと作り方完全解説【南米料理】

Colombia

皆さんはアレパという料理をご存じでしょうか。
日本ではまだ聞きなじみの少ないこの料理は、日本の裏側の南米でとても親しまれています。
今回はそのアレパの歴史や作り方をご紹介していきます。

TasteTuneでは、世界各国の多彩な料理をご紹介するとともに、その料理を表現した音楽もお届けしています。
YouTubeやSpotifyなど各種サブスクリプションで配信中ですので、ぜひお楽しみください。

アレパとは

アレパは、コロンビアやベネズエラを中心に南米で親しまれているとうもろこし粉料理です。

アレパは、コロンビアやベネズエラを中心に南米で親しまれているとうもろこし粉料理です。
日本においての「おにぎり」的な存在で、国民食といえるほどポピュラーな存在となっています。

手のひらサイズのその円盤状の食べ物は、外はサクッと、中はもちもちとした食感が特徴です。
プレクックドコーンフラワー(とうもろこし粉)、水、塩を主原料とし、焼く、揚げる、蒸すなど多様な方法で調理します。

TasteTune「Arepa」

皆さん、Tastetuneの音楽「Arepa」はお聞きになりましたか?
この音楽はアレパからインスピレーションを得て、その温かさと活気を音で表現した作品です。リズミカルなハンドパーカッションと遊び心のあるギターが織りなす音の世界を表現していますのでぜひ聴いてみてください!
以下ではこの音楽作品に込められた思いや表現、工夫をご紹介します。

大地の恵みを音で表現:素朴でやさしい響き

アレパの魅力の根っこにあるのは、主材料であるトウモロコシの素朴でやさしい味わいです。
その風味を音に変えて表現しているのが、リズミカルに刻まれる手拍子のような打楽器と、軽やかに奏でられるギター。
どこか遊び心を感じるその音色は、トウモロコシを育む大地の力強さと温もりを伝え、アレパという料理の素朴さと奥深さを鮮やかに浮かび上がらせます。

家族の時間を描く:温かなハーモニー

アレパは一人で食べるものではなく、家族や友人と分け合ってこそ本当の魅力が引き立ちます。
その雰囲気を表現しているのが、軽やかな木の笛や、明るく響く弦の音。
耳を傾けると、食卓を囲む人々の笑い声や、温かいやりとりが浮かんできます。
音楽は「アレパはただの料理ではなく、人を結びつける大切な存在」だとやさしく語りかけてくれます。

招き入れる温かさ:音楽が描く食卓の景色

この楽曲全体に流れているのは、「温かく迎え入れてくれる空気」と「分かち合う楽しさ」です。
派手ではなく、素朴で心地よい響きが、まるでラテンアメリカの台所で家族が一緒に手作りの料理を作っている光景を思い起こさせます。フォークロアの素朴な魅力とお祭りのような明るさが調和し、聴く人を自然と微笑ませ、心をほっと和ませてくれます。

聴覚で味わうアレパの真髄

このアレパをテーマにした楽曲は、ただのBGMではなく「料理を音で味わう体験」です。アレパが持つ「大地のぬくもり」、みんなで囲む「喜び」、そしてラテンアメリカの「心」が、音を通してやさしく伝わってきます。ぜひ、この音楽の旅に身をゆだね、心の中まで温かくなる「アレパ」の世界をご堪能ください。

アレパの歴史

アレパの起源は数千年前。南米の先住民がトウモロコシをすり潰して焼いた「薄焼きのパン」が原型と言われています。

アレパの起源は数千年前。南米の先住民がトウモロコシをすり潰して焼いた「薄焼きのパン」が原型と言われています。
当時からベネズエラやコロンビアの先住民は、トウモロコシを主食として日常的に食べていました。

「arepa」という名前も、ベネズエラ先住民の言葉「erepa(トウモロコシを意味)」が語源だとされます。

そして時が流れ16世紀、スペインによる植民地支配が行われました。
しかし、アレパは食文化として残り、スペイン人にも日常食として取り入れられています。

その後19世紀以降、アレパはベネズエラ・コロンビアで「国民食」として定着します。
各地で独自のアレンジなども生まれ、発展していきました。

現在は移民などを通じて世界へと広がり、国際的な料理として認知されています。

アレパのアレンジメニュー

1. Reina Pepiada(レイナ・ペピアーダ)

ベネズエラでは定番のさっぱり系のアレパです。
クリーミーでさっぱりしており、アボカドのまろやかさと鶏肉のボリューム感が魅力の一品です。
また、名前の由来は「美人コンテストの女王」からきているそうです。

Reina Pepiada(レイナ・ペピアーダ)

2. Arepa de Queso(チーズアレパ)

軽食や朝食として手軽に食べられるのがこのチーズアレパです。
とろけるチーズや香ばしさと塩気が食欲をそそる人気のある一品です。

Arepa de Queso(チーズアレパ)

3. Pabellón Arepa(パベジョン風アレパ)

ベネズエラの伝統料理「パベジョン・クリオージョ」をアレパに詰めたアレンジです。

パベジョン・クリオージョ(Pabellón Criollo)とは、牛肉・豆・ご飯・バナナを組み合わせたベネズエラの定食です。

パベジョン風アレパにも牛肉の煮込みや揚げバナナなどが使われます。
甘じょっぱい風味が特徴で、ほかにはない豪華なアレンジです。

Pabellón Arepa(パベジョン風アレパ)

4. Arepa de Pernil(ペルニル入りアレパ)

ペルニルとはローストポークのことです。
ジューシーな豚肉の旨みと香辛料の効いたソースがパンチのある味わいが楽しめます。

また、お祝い事やクリスマスにも人気のアレンジです。

Arepa de Pernil(ペルニル入りアレパ)

5. Arepa Vegana(ビーガンアレパ)

名前の通りグリル野菜やビーガンチーズ、黒豆などを使ったアレンジメニューです。
ヘルシー志向やベジタリアンの方に人気があり、最近ではアレパ専門店でも定番となりました。
野菜のフレッシュさと豆のほのかな甘みですっきりとした後味が特徴です。
栄養バランスも良く、健康を気にしている人にもお勧めできる一品となっています。

Arepa Vegana(ビーガンアレパ)

アレパの雑学

1. 国境をまたぐ論争

ベネズエラとコロンビア間では、どちらのアレパが本家かという議論がたびたび起こります。
まるでジョロフライス論争のようです(笑)。
これは両国の食文化にアレパが深く根付いていること、両国のアレパに違いがあるからこそ起こることです。

両国のアレパの特徴をご紹介しておきますね。

  • ベネズエラ:アレパを割って中に具材をたっぷり挟む「サンドイッチ風」が主流。食事の中心として食べられる。
  • コロンビア:薄めに焼いてチーズを練り込んだり、揚げたりするバリエーションが多い。食事の付け合わせとして登場することも多い。

どちらも自分たちの国民食として誇りを持っていますが、あくまで冗談交じりの食文化論争として楽しまれています。

2. アレパ専用粉「P.A.N.」

実はアレパの普及にはベネズエラで開発されたあるものが大きく貢献しています。

それが「P.A.N.(パン)」と呼ばれるプレクックドコーンフラワーです。
1960年代に開発されたこの「P.A.N.」は水と塩を混ぜるだけで簡単に生地を作れます。
これは従来のトウモロコシを煮て、乾燥させて、粉にするという工程をなくすことに成功しました。

この商品によって、アレパは「毎日家庭で作れる料理」として完全に定着しました。
今ではべネズエラ移民の増加とともに、世界各国のラテン食材店でも販売されるようになりました。

3. アレパの日(Día Mundial de la Arepa)

世界各地に広がるベネズエラ移民が、自国の文化を共有し、アイデンティティを守るためにベネズエラの移民団体によって制定されました。
2012年に始められたこの記念日は、毎年9月の第2土曜日に祝われます。
海外の都市でもアレパフェスティバルやチャリティイベントが開催され、アレパを食べながら文化交流が行われます。
ニューヨーク、東京などでもイベントが行われており、グローバルにアレパが広まっている証拠となっています。

4. 宇宙食にもなったアレパ

1999年、ベネズエラ出身の宇宙飛行士カルロス・コスタがスペースシャトルのミッションに参加した際、特別に加工されたアレパを宇宙に持ち込みました。
これは「アレパは宇宙で食べられた南米料理」と話題を呼びます。
日常の家庭料理であるアレパが、母国の人々にとって「国の誇り」として強く意識されたエピソードとなっています。

アレパの作り方

材料(4〜5枚分)

  • プレクックドコーンフラワー(P.A.N.など) … 2カップ(約250g)
  • 水 … 2と1/2カップ(約600ml)
  • 塩 … 小さじ1
  • (お好みで)オリーブオイルまたはバター … 少量

作り方

  1. 水と塩を混ぜる
    はじめに大きめのボウルに水を入れ、塩を溶かす。
  2. 粉を加える
    プレクックドコーンフラワーを少しずつ加えながら手で混ぜる。
    ダマが残らないように、よくこねる。
  3. 生地を休ませる
    5分ほど置くと水分が馴染み、柔らかくまとまる。
    (目安:耳たぶくらいの柔らかさ。硬すぎれば水を足し、柔らかすぎれば粉を追加。)
  4. 成形する
    つぎに生地を手に取り、テニスボールくらいに丸める。
    その後、手のひらで押しつぶして直径8〜10cm、厚さ1.5〜2cmの円盤形にする。
  5. 焼く(トスタール)
    中火に熱したフライパン(薄く油をひいてもOK)で、両面を約5〜7分ずつ焼く。
    表面にこんがり焼き色がついたらOK。
  6. 仕上げ(オーブン or 蒸し)
    • より中までふっくら仕上げたい場合:200℃のオーブンで10分ほど加熱。
    • そのままでも食べられるが、外カリッ・中モチッの理想形に仕上がる。
  7. 食べる
    最後に、ナイフで横に切り込みを入れてポケット状にし、好きな具材(チーズ、肉、アボカドなど)を詰めて完成!

美味しく作るコツ

  • 焼きすぎず、表面はカリッと、中はしっとり感を残すのが理想。
  • 生地が手にくっつくときは粉を少量足す。逆に割れるときは水を少し加える。
  • 日本で作る場合は「P.A.N.」が輸入食材店や通販で手に入るので便利。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回はベネズエラ、コロンビアの国民食「アレパ」をご紹介しました。

南米で愛されている料理が今では世界中で親しまれているその魅力を少しでもお伝えできたでしょうか。
手軽に食べれるものから伝統と混ざり合った豪華なアレンジまで、手軽に作れるアレパに興味をもっていただけると嬉しいです。
日本でもベネズエラ料理のお店などで楽しむことができますし、上記のレシピで家庭で楽しむことができます。

ぜひ皆さんも自分好みのアレパを見つけて楽しんで味わってください!

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