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ラトケス♪料理と宗教の融合 レシピ解説【ハヌカー料理】

皆さんはラトケスを知っていますか?

ラトケスはジャガイモを使ったパンケーキです!

この料理はユダヤ料理に分類され、深く結びついています。

今回はユダヤ教のお祭り、ハヌカーが近づいていることに合わせて、このラトケスを紹介していこうと思います!

ぜひ最後までご覧ください!

目次

ラトケスって何?

ラトケスとは、ジャガイモを使ったパンケーキのことです。

ラトケスとは、ジャガイモを使ったパンケーキのことです。

ユダヤ人のコミュニティがある地域であれば世界中で食べられているといわれるほど、ユダヤ教と密接なかかわりがあります。

その中でも、イスラエルではラトケスはハヌカーの定番として特に親しまれています。

ラトケスは塩味ベースでありながらほんのりとした甘さとシンプルな味付けが特徴です。

具材を焼き上げて作るため、外側はカリッと、中はふわっとした食感が魅力です。

付け合わせでは二種類のソースを使います。

一つ目がりんごソースです。

甘酸っぱくてさっぱりとした風味はラトケスの塩気や脂っぽさを中和してくれます。

そしてピューレ上の食感がカリッとしたラトケスとの相性が抜群です。

また、砂糖やシナモンの量を調整することで、自分好みの甘さや風味付けをすることもできます。

二つ目がサワークリームです。

サワークリーム特有の酸味が、ラトケスの油っぽさを中和してくれます。

また、から揚げにレモンを添えることと同じように、口の中をリフレッシュしてくれる効果も持っています。

りんごソースが甘いのと対照的にこちらは塩気を強調するような風味になります。

他にはヨーグルトやスパイスを合わせることもあります。

地域や家庭で様々な楽しみ方があるのもこの料理の魅力かもしれません。

ラトケスの歴史

ラトケスの語源はイディッシュ語のlatkeだといわれています。

ラトケスの語源はイディッシュ語のlatkeだといわれています。

イディッシュ語とは中東欧のユダヤ人が用いてきた言語です。

さらにさかのぼると、東スラヴ語のoladka/oladya(小さなパンケーキ・揚げパン)、古代ギリシャ語のeládion(オリーブ油、小さな油もの)まで行きつきます。

現代のラトケスはジャガイモを使ったものが主流です。

しかし、昔はジャガイモ以外で調理をしていました。

中世ヨーロッパ、とくにイタリア南部では、揚げたリコッタチーズのパンケーキ(後に Cassola と呼ばれる)があった、という説があります。

このチーズのパンケーキが、ユダヤ教祝祭Hanukkah(ハヌカー/光の祭)と結びつき、当時ユダヤ人社会で「揚げ物を食べる」習慣の一つとなっていたようです。

つまり、ラトケスの先祖は必ずしも“じゃがいも+油”ではありません。

“チーズまたは穀物”を油で揚げたパンケーキやフリッターのようなものでした。

ラトケスにジャガイモを使うようになった理由

前述したように、ラトケスはもともとジャガイモとは別の材料でつくられていました。

その材料には二種類あり、主流としてはチーズを。

東ヨーロッパでは小麦粉や蕎麦粉、パン粉などを生地にしていました。

ではなぜこれらの材料がジャガイモに代わっていったのでしょうか。

その理由は冬場でも手に入る容易さと安価で大量に普及した点にあります。

当サイトでもたびたび登場するジャガイモは、寒冷地でも手に入ることや保存のしやすさから重宝されるという強みを持っています。

ラトケスはそれに加えて大量に普及したことによってジャガイモを使うようになります。

ヨーロッパでは16世紀頃に南米原産のジャガイモが導入されました。

その後、ヨーロッパでジャガイモは安価かつ保存がきく主食となります。

18~19世紀にヨーロッパのユダヤ社会で「じゃがいもを使ったラトケス」が一般的となります。

より安価で大量に手に入ったことで、材料がジャガイモに置き換わり、現在の形のラトケスになりました。

伝統と祝祭との結びつき

伝統と祝祭との結びつき

それでは、なぜラトケスはハヌカーと深い結びつきを持つようになったのでしょうか?

それは、ハヌカーで語られる「油の奇跡(The Miracle of the Oil)」に関係しています。

そもそもハヌカーとはなぜ行われるか知っていますか?

ハヌカーは、紀元前2世紀にユダヤ人がセレウコス朝ギリシア軍を打ち破り、エルサレム神殿を奪還したことを記念する祝祭です。

奪還の際に、神殿のメノラー(七枝燭台)を灯す油が1日分しか残っていなかったにもかかわらず、8日間燃え続けたとされる伝承から、「油の奇跡」が語られるようになりました。

この「油の奇跡」を記念するために、ハヌカーには油を使う料理を食べる習慣が生まれました。

その中で、東欧系のユダヤ人(アシュケナージ)が多く移住したアメリカ・ヨーロッパなどでラトケスがもっとも普及したため、一般的なハヌカー料理として強く定着しました。

ラトケスの豆知識・面白い話

アップルソースとサワークリームの“論争”

アップルソースとサワークリームの“論争”

ラトケスの食べ方には2大派閥があります。

  • アップルソース派(甘い)
  • サワークリーム派(しょっぱい)

アメリカのユダヤ人コミュニティでは、毎年ハヌカーの時期になると「どっちが正統か?」という論争が起こるほどの人気話題です。

甘い vs. 塩気の“文化戦争”とも呼ばれています。

じゃがいもを絞るときの“天敵”

すりおろしたじゃがいもから出る“赤黒く変色する液体”はポリフェノール酸化酵素によるもので、放置するとラトケスが黒っぽくなります。

そのため昔から、

  • すぐに焼く
  • レモン汁を少し入れる
  • 水にさらしてデンプンだけ使う

といった工夫がされてきました。

そのため、料理としての歴史だけでなく、科学的な工夫も受け継がれています。

ラトケスは“音”も重要

ラトケスは“音”も重要

ユダヤの一部の家庭では、油に落としたときの「ジュッ」という音が

  • “炎が燃え上がる音”
  • “ハヌカーの灯の音”

を象徴するという考え方があります。

そのため、揚げる音そのものにも意味があると言われることがあります。

ラトケスのレシピ

材料(約12枚)

  • ジャガイモ …… 4個(中サイズ、約600g)
  • 玉ねぎ …… 1/2個
  • 卵 …… 2個
  • 薄力粉 または マッツォーミール(クラッカー粉でも可)…… 大さじ2〜4
    ※カリッとさせたい場合は粉少なめ、まとまり重視なら多め
  • 塩 …… 小さじ1/2〜1(お好みで)
  • 黒こしょう …… 少々
  • 揚げ油(植物油)…… 適量

作り方

1. ジャガイモと玉ねぎをすりおろす/細切りにする

  • ジャガイモは皮をむき、粗めのすりおろす。
  • または千切りスライサーで「細めの千切り」にする方法もあります。
  • 玉ねぎもすりおろすか、細かいみじん切りにする。

2. 水分をしっかり絞る

  • すったジャガイモと玉ねぎをボウルに入れ、清潔な布やキッチンペーパーで可能な限り水分を絞る。
    ※水分を抜くほどカリッとした仕上がりになります。

3. 生地を混ぜる

  • 別のボウルにジャガイモ・玉ねぎ、卵、粉、塩、こしょうを入れてよく混ぜる。
  • 生地がゆるすぎる場合は粉を少し追加。

4. 油で揚げ焼きにする

  • フライパンに油を5mm〜1cmほど入れ、中火で熱する。
  • 生地をスプーン2つで丸めて、フライパンに落とし、薄く広げる。
  • 片面がきつね色になったら返し、両面がカリッとするまで焼く。

5. 油を切る

  • 焼きあがったらキッチンペーパーで油を切る。

コツとポイント

  • カリッとさせたい場合
    → 水分をよく絞る・粉少なめ・油をやや多めで揚げ焼きにする
  • モチっとさせたい場合
    → 粉多め・細めのすりおろしを使う
  • 玉ねぎの量で甘さが変わる
    玉ねぎ多め → ほんのり甘くなる
  • 香ばしさアップ
    → 少量のバターを油に混ぜる家庭もあり

2種類のソースのレシピ

アップルソースの作り方

ラトケスの定番の付け合わせで、甘酸っぱいフルーティーな味わいが油ものと相性抜群です。

材料(約4人分)

  • りんご……2〜3個(約500g)
  • 砂糖……大さじ1〜2(お好みで)
  • レモン汁……大さじ1
  • 水……50〜70ml
  • シナモン……少々(お好みで)

作り方

  1. りんごの準備
    皮と芯を取り除き、小さめの角切りにする。
  2. 鍋に入れる
    りんご、水、砂糖、レモン汁を入れて中火で加熱。
  3. 煮る
    蓋をして10〜15分ほど、りんごが柔らかくなるまで煮る。
  4. 潰す
    ・スプーンやマッシャーで軽く潰す → “ホームメイド風粗つぶし”
    ・ブレンダーで滑らかにする → “市販のようなピュレ状”
    こちらはお好みで。
  5. 仕上げ
    シナモンを加える場合は少量ふり、混ぜれば完成。

サワークリームソースの作り方

材料

  • サワークリーム……100g
  • 塩……少々
  • レモン汁(お好みで)……小さじ1
  • 砂糖(お好みで)……ごく少量

作り方

  1. サワークリームに塩をほんの少し加える。
  2. レモン汁で酸味を調整して混ぜるだけ。

※ハヌカーでは「無調整のサワークリーム」をそのまま添える家庭も多いです。

まとめ

いかがでしたか?

今回はユダヤ文化と深く結びついた料理、ラトケスを紹介しました!

これまでも宗教や文化とかかわっている料理をいくつか紹介してきましたが、今回は特にかかわりが深かったですね!

また、ジャガイモがいかに万能食材化も再認識できました。

さて、そんなラトケスですが、日本で提供されることはあるのでしょうか?

実際はかなり珍しい部類に入るようですね。

ただし、完全にないというわけではなく、イスラエル料理店などでは提供されることがあるそうです。

事前に確認してみてお店に行くのがいいでしょう。

また、いつものようにレシピも載せています!

難しいことはないと思うので、ぜひお家でチャレンジしてみてください!

くれぐれも油の取り扱いには気を付けて!

最後までご覧いただきありがとうございました。

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