皆さんはラ・ブイリという料理を知っていますか?
ラ・ブイリはアフリカの中央に位置するチャド共和国で古くから親しまれてきた料理です。
素朴でありながらも家庭ごとに色のあるこの料理の魅力を本記事ではご紹介していきます!
ぜひ最後までご覧ください!
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ラ・ブイリってどんな料理?

ラ・ブイリ(La Bouillie)とは、チャドで古くから親しまれているおかゆ料理です。
日本のお粥やオートミールに近い存在であり、主に朝食として食べられています。
チャドではキビ(ミレット)や米といった穀物が重要な主食とされています。
そのため、ラ・ブイリもその穀物文化を表した料理として発展してきました。
そんなラ・ブイリの特徴は素材本来の素朴さとほのかな甘みにあります。
ラ・ブイリは主に米や小麦、またはキビを牛乳や水で煮込み、ピーナッツバターや砂糖を加えて作ります。
穀物の自然な香りとピーナッツのコクと香ばしさはラ・ブイリのベースとなる味わいです。
そこへ砂糖やブラウンシュガー、バナナなどの果物を投入することによって甘みも加わります。
これらの材料は家庭ごとに異なり、地域差があることもこの料理の特徴と言えます。
お粥なのにピーナッツを使ったり甘みがあったりと日本のお粥とは違った魅力があります。
名前の由来
La Bouillieを直訳すると「その粥」「その煮粥」という意味になります。
bouillie(ブイリ)はフランス語で、穀物や小麦粉などを煮て、ペースト・粥状にした食べ物を指します。
チャドはフランスの旧植民地で、現在もフランス語が公用語の一つです。
そのため、穀物を煮たこのお粥料理の語源がフランス語なのです。
また、ラ・ブイリは固有の名称というよりは料理の形状・調理法をそのまま表した名前です。
チャドではmadidé(マディデ)やbyan(ビアン)などの現地語名も使われています。
ラ・ブイリの味・風味

ラ・ブイリは材料によって様々なテイストに変わります。
ベースとなる穀物もキビや米など複数種類使用されますが、その中でもミレットは外せません。
ミレットを使用すると、穀物そのものの香ばしく素朴な風味を味わえます。
オートミールに近いと説明されることもありますが、より強い穀物の香りを感じます。
ピーナッツはお粥には珍しいと感じますが、ラ・ブイリでは定番です。
ピーナッツのコクや香ばしさと甘いお粥の組み合わせは、ただ甘いお粥に深みを生み出します。
実際にラ・ブイリを食べた人の記録では、「意外なほどピーナッツの風味がある」と表現されています。
牛乳は穀物を煮込む際に使用されます。
牛乳を加えることで、穀物の味が丸くなり、クリーミーでまろやかな口当たりになります。
そして、ラ・ブイリに使用する食材として特徴的なのがレモンや発酵乳です。
どちらもラ・ブイリに酸味を加えます。
甘さ、香ばしさ、まろやかさ。
そこへ酸味を足すことによって、ラ・ブイリならではの風味を生み出すのです。
ラ・ブイリの歴史
サヘル地域の穀物文化

ラ・ブイリを語るうえで欠かせないのがミレット(トウジンビエ)やソルガムなどの穀物です。
現在のチャドを含むサヘル地域は非常に古い時代から雑穀が食生活の中心となっていました。
資料によると、紀元前1500~1000年頃にはチャド平原にある遺跡でミレットの存在が確認されています。
そして紀元前1000年から紀元後1000年にかけて、ミレット栽培はサハラ以南の広い地域へ広がっていきました。
実はラ・ブイリが明確にこの時代からあったということはわかっていませんが、
「チャドでミレットなどの穀物を栽培し、それを食料として利用する文化」
には数千年の歴史がありました。
粥にする文化
穀物の歴史とともに重要なのが、穀物を粉にして水とともに煮て粥にする食文化です。
チャド湖周辺の食文化を研究したフランス開発研究所は、「bouillie(粥)」はチャド湖盆地や西アフリカの広い地域で非常に古くから存在する穀物料理だった説明しています。
研究者たちは、穀物料理について、
- boule(練った穀物料理)
- bouillie(粥)
- bière(穀物酒)
が、チャド湖盆地における主要な穀物の加工・調理方法だったと説明しています。
したがって、ラ・ブイリの原型は非常にシンプルな穀物食文化が起源だったと考えられます。
現代まで受け継がれたもの

研究では農作物の種類が変わっても、穀物の食べ方そのものは比較的不変であったことが指摘されています。
例えば、地域によってもミレットやソルガム、米など利用される穀物は変わってきます。
しかし、穀物を粉にして煮込んで粥にする調理法だけは穀物に左右されずに受け継がれてきました。
研究者は、どの穀物を使うかよりも、その穀物の加工自体が重要だったと説明しています。
そのため、ラ・ブイリは特定の一つの穀物から生まれた料理とは言えません。
チャドの穀物文化の中で発展した料理形式の一つがラ・ブイリだと言えるのです。
現代のかたちへ
穀物を粥にするだけだったラ・ブイリは牛乳を加えるようになったことで現代に近い形になります。
チャド北部などでは牧畜文化が発達していました。
そして得られる牛やラクダなどの乳・発酵乳を食生活に利用していました。
そのため、ミレットと水のお粥に乳や発酵乳を使用する文化は自然と発展したと考えられます。
しかし、この変化は現代のラ・ブイリにつながる重要な変化でした。
さらに時代が進むと、地域で利用される食材が加わり、ラ・ブイリのバリエーションが増えていきます。
現代のラ・ブイリはミレットのほかにも様々な食材が使用されています。
例えばソルガムや小麦、ピーナッツや砂糖、レモンなどです。
チャド周辺の食文化が組み合わさることによって、ラ・ブイリの特徴ともいえるお粥に甘味や酸味を加えるスタイルが形成されました。
ラ・ブイリとフランス

ラ・ブイリはミレットやソルガムなど様々な穀物を使用しますが、その中には米を使うものもあります。
しかし、米はチャドにおいて主要な穀物ではなかったとされています。
2025年のチャドの伝統食品についての研究では、米はフランスの植民地期以降に導入されたものとされています。
さらに同研究では、第二次世界大戦中には米の栽培が強制的に導入されたという説明もあります。
そして導入されたコメは若い世代を中心に受け入れられ、ミレットなどの代わりに使用される地域も出てきました。
また、ラ・ブイリという名前もフランス語の「bouillie(粥・ポリッジ)」に由来します。
つまり、ラ・ブイリはチャドの食文化を基盤としてフランスの文化も取り入れながら進化してきたのです。
ラ・ブイリの現在
20世紀以降、ラ・ブイリは日常的なお粥料理として各地域の家庭で作られていきます。
ただし、チャドは非常に広い国で、北部の砂漠・サヘル地域と南部のサバンナでは環境も食文化も大きく違います。
そのため、チャド全土で同じラ・ブイリが食べられていたわけではありません。
例えば現在確認されているチャドのラ・ブイリでも、ミレット粉だけを使うタイプやミレットと牛乳を使うものなど、かなり幅があります。
この多様性こそ、ラ・ブイリが家庭料理として長く受け継がれてきた理由の一つとも考えられます。

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